eスポーツ大会を観戦していると、実況や解説、選手のボイスチャットなどから飛び交う専門用語に、思わず戸惑ってしまうことはありませんか?
eスポーツに採用されるような競技性の高いゲームではゲーム内用語やテクニックに関するワードだけでなく、大会形式など日常生活では聞きなれない単語も多く、聞き慣れたようで意味をきちんと理解していない言葉も、なんとなく雰囲気で把握しているという方も多いのではないでしょうか。
本稿ではeスポーツを楽しむために知っておきたい、オンラインゲームにまつわる用語から、FPSや対戦格闘ゲーム、MOBAなど、大会シーンで使われるワードにジャンルを絞りご紹介します
eスポーツ大会でよく聞くワード34選
■シングル・エリミネーション
一度負けたら即脱落となる、シンプルなトーナメント方式です。勝ち上がりが明確でスピーディに進行できる反面、実力が発揮できる機会が一度しかないため、波乱が起こりやすい大会フォーマットです。
■ダブル・エリミネーション
2回負けるまで敗退しないトーナメント形式です。アッパーブラケット(Upper Bracket)と敗者復活戦となるロウアーブラケット(Lower Bracket)の2部構成で試合が行われます。
1度敗北したチーム・選手でもロウアーブラケットで勝利し続けることで決勝戦に進むことができるため、シングル・エリミネーションよりも実力が反映されやすい大会フォーマットと言えます。
■リセットルール(ダブル・エリミネーション)
ダブル・エリミネーション方式の決勝戦において、優勝に必要な勝利数がアッパーブラケットを勝ち抜いたチーム・選手は1勝、ロウアーブラケットを勝ち抜いたチーム・選手は2勝となるルールです。
アッパーブラケットを勝ち抜いた無敗のチーム・選手には本来、1度負けるチャンスがあるという考えのもと、アッパーブラケットのチーム・選手により公平性を持たせるため採用されることがあります。
■ラウンドロビン / リーグ戦
参加チームがすべての相手と対戦する総当たり戦です。
勝敗数や得失点差で順位を決定します。試合数は多くなりますが、一発勝負では測れない実力を評価できるのが特長です。
1回ずつ対戦を行うシングルラウンドロビン形式のほか、2回ずつ対戦が行われるダブルラウンドロビン形式があり、予選ステージでよく用いられています。
■スイス式 / スイスドロー
初戦はランダムにマッチングされ、以降は勝敗が近いチーム同士が対戦していく方式です。勝者は勝者同士、敗者は敗者同士と戦っていくため、実力が拮抗した試合が続きやすい特性があります。
成績上位がプレイオフに進出するという方式で予選ステージなどでよく採用されます。
■ガントレット方式
下位チームから順番に上位チームに挑戦していく形式です。勝者がそのまま次の対戦へ進むため、「勝ち残り形式」に近いとも言えます。
■キング・オブ・ザ・ヒル / KOTH
勝者が次の挑戦者を迎え撃つ形式の勝ち残り戦です。「現在の王者(King)」に挑戦者が次々と挑む構図で、連勝すればそのまま王座に居座り続けることが可能です。少人数のショーマッチやエキシビションにも用いられます。
■BO(Best of)
「Best of」の略。「BO1」「BO3」「BO5」などの形で使われます。これは何本勝負で行うかを示す表現で、たとえば「BO3」は最大3試合行い、先に2勝したチームが勝利する形式です。大会のステージや重要度に応じて使い分けられます。
トーナメント構造・進行に関するワード
■ブラケット(Bracket)
トーナメントの対戦表のこと。出場チームがどのように対戦し、どの順番で勝ち進むかを示す図です。トーナメントツリーとも。
■アッパーブラケット(Upper Bracket)
ダブルエリミネーション方式において、まだ1度も負けていないチームが進行するトーナメントブロックです。
■ロウアーブラケット(Lower Bracket)
ダブルエリミネーション方式の敗者復活戦用トーナメントブロックです。アッパーブラケットで1度敗れたチームがこのブロックに移動し、さらに1度敗れると完全に敗退となります。
ロウアーブラケットを最後まで勝ち抜けばグランドファイナルに進出可能です。
■グランドファイナル(Grand Final)
大会の最終戦・決勝戦です。ダブル・エリミネーション形式ではアッパーブラケット、およびロウアーブラケットを勝ち抜いた2チームが対戦します。
■セミファイナル(Semi Final)
準決勝です。大会の終盤で、グランドファイナルの1つ前の試合です。4チームが残っている段階で行われることが一般的です。
■クォーターファイナル(Quarter Final)
準々決勝です。トーナメントで8チームが残っている段階で行われる対戦です。この勝者がセミファイナルに進出します。
■グループステージ(Group Stage)
大会の予選フェーズにあたるステージで、出場チームが複数のグループに分かれて対戦します。ラウンドロビン(リーグ戦)形式、あるいはスイス式(スイスドロー)で行われることが多く、上位チームがプレイオフへ進出します。
■キックオフ(Kickoff)
シーズンなどの開幕戦などeスポーツ大会におけるイベントの開始・開幕を象徴するセレモニーや初戦を指す言葉です。正式な意味では「試合開始」を意味しますが、eスポーツでは大会全体のスタートを飾る重要なタイミングを表す言葉として使用されることがあります。
■プレイオフ(Playoff)
決勝トーナメントです。グループステージの成績上位チームや、予選を勝ち抜いたチームが出場し、優勝を目指して本戦を戦うステージです。
■ファイナルズ(Finals)
大会終盤の複数試合の総称で、準決勝(Semi Final)や決勝(Grand Final)などを含むラウンドをまとめて指します。複数日にわたる決勝戦を総称してファイナルズと記載することがあります。
■タイブレーカー(Tiebreaker)
同点・同率の順位を決めるための追加試合やルールです。ラウンドロビン形式などで複数チームが同じ成績になった場合、タイブレーカーを行ってプレイオフ進出や順位決定を明確にします。
ピック・バンに関するワード
■マップピック・バン
試合で使用するマップを、各チームが交互に選択(ピック / Pick)したり、使用禁止にする(バン / Ban)工程のこと。
大会ルールにより選択する順番が決められ、得意マップや苦手マップ、相手の得意マップを除外するといった戦略的な駆け引きが行われます。
■ドラフト(Draft)
チームが使用するキャラクターやヒーローを選んでいく工程です。多くの場合、試合で使用するキャラクターを選ぶフェーズと、使用禁止にするキャラクターを選ぶフェーズがあります。
戦略性が非常に高く、互いの構成を読み合いながら選ぶ必要があります。MOBA系タイトルで広く使われます。
■ブラインドピック(Blind Pick)
お互いに選択しているキャラクターが見えない状態でドラフトを行う方式です。選んだキャラはピック完了後に初めて公開されます。
公平性やサプライズ要素を重視する場面で使われることがあります。
■ミラーマッチ(Mirror Match)
対戦する2つのチームの使用するキャラクターや戦術的構成が全く同じ状態です。ミラーマッチでは純粋な操作技術や連携力、判断力が勝敗を分けることが多く、非常に高度な読み合いが発生します。
■コイントス(Coin Toss)
試合前のマップの選択権やサイド(攻守やチームカラーの選択など)の決定権を公平に割り振るために行う抽選方法です。
実際にはコイントスだけでなく、ジャンケンやランダム番号の選択など他の手法が使われる場合もありますが、抽選を総称して「コイントス」と呼ぶことがあります。
順位・成績・ポイントに関するワード
■シーディング(Seeding)
出場チームや選手の実力・過去の成績に基づいて、トーナメントの配置を決める作業のことです。強豪同士の早期対戦を避けたり、初戦のバランスを取るために行われます。
■スタンディング(Standing)
大会やリーグにおける現在の順位・順位表のこと。主にグループステージやリーグ戦で使用されます。
■勝敗記録(Win-Loss Record)
各チームまたは選手の勝ち数と負け数の記録。トーナメントやリーグの成績を示す基本的な指標で、順位やプレイオフ進出の判断材料にもなります。
■ポイント制(Points)
試合の結果に応じてポイント(勝ち点)を与える方式です。勝利に3点、引き分けに1点、敗北に0点といったルールで設定され、リーグやグループステージの順位決定に使われます。
ポイント制により、単なる勝敗数だけでなく、勝ち方や安定感が評価される仕組みです。
■対戦相手の強さ(Strength of Schedule)
あるチームが対戦してきた相手の平均的な強さや成績を示す指標です。勝敗だけでなく、どれだけ強い相手と戦ってきたかを考慮することで、より公平な順位評価を下します。
同率順位の並び替え(タイブレーク)やプレイオフ進出の判断材料として活用されることがあります。
大会の性質・種別に関するワード
■オンライン大会(Online Tournament)
インターネットを介して実施される完全オンライン形式の大会です。選手は自宅や指定施設から接続して参加し、物理的な会場には集まりません。
地理的制限が少なく、参加の敷居が低いことが利点ですが、通信環境やラグの影響を受けやすいため、公平性の確保が課題となることもあります。予選ステージでよく用いられています。
■ランイベント・オフライン大会(LAN Event)
選手や関係者が指定の物理会場に集まり、同一のローカルネットワーク環境下(LAN)で実施される大会です。
オンラインと比べて回線遅延がなく、安定した通信で試合が行えるため、特にプロシーンの決勝戦や国際大会で主に採用されます。
ローカル環境下ではなく、物理会場に集まりながらオンライン環境で進行するケースもあります。
■インビテーショナル(Invitational)
主催者から招待を受けたチーム・選手のみが参加可能な大会です。
実績や人気、話題性などを考慮して選ばれるため、参加メンバーの実力や知名度が保証されていることが多く、ハイレベルかつエンタメ性の高い試合が期待されます。
■オープン予選(Open Qualifier)
誰でも自由に参加できる予選大会です。多くの場合ランキングや実績に関係なくエントリーが可能です。
新進気鋭のプレイヤーやアマチュアチームがプロシーンに挑戦する登竜門となる一方、競争が非常に激しく、試合数も多くなる傾向があります。
■クローズド予選(Closed Qualifier)
招待されたチーム・選手、または事前条件を満たした者だけが参加できる予選大会です。
オープン予選を勝ち抜いたチーム・選手やランキング上位が招待されるケースなどがあります。
まとめ
eスポーツ大会では独自の試合形式や専門用語が数多く登場します。本記事で紹介したワードを知っておくことで実況や解説、選手のやりとりがより深く理解でき、観戦がより楽しめるようになります。
eスポーツ大会の観戦をする際は、ぜひ本記事を参考にしながら、ゲームの奥深さや駆け引きにも注目してみてください。
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