JOURNAL

名作パズルゲームの『ぷよぷよ』シリーズ。30年以上続くゲームがeスポーツ化した歴史をご紹介

2024.08.14

名作パズルゲームの『ぷよぷよ』シリーズ。30年以上続くゲームがeスポーツ化した歴史をご紹介

eスポーツにも積極的な『ぷよぷよ』

1991年の発売以来、現在に至るまで落ちものパズルの定番タイトルとして広く親しまれてきた『ぷよぷよ』シリーズ。

本シリーズは単純ながら奥深く連鎖が楽しいシステムに加え、かわいらしいキャラクターが特徴的で、シリーズ累計累計1,000万本以上を売り上げた人気作※1。さまざまなゲームハードで展開されてきたため、詳しくはないがプレイしたことはあるという方も多いかと思います。

※1)参考:読売新聞オンライン – ぷよぷよ生みの親、売上高70億円の絶頂からわずか一年で「ぷよ」のように会社はじけ人生一転…1998年3月「あれから」(外部リンク)

そんな『ぷよぷよ』ですが、実は長きにわたり大会が開催されてきた歴史あるeスポーツタイトルであることはご存知でしょうか。

『ぷよぷよ』の発売と対戦パズルゲームの始まり

今回は四半世紀以上も親しまれ、eスポーツ化にも積極的な姿勢を見せる『ぷよぷよ』についてご紹介します。
30年以上の歴史を持つ落ちものパズル『ぷよぷよ』
『ぷよぷよ』シリーズといえば前述のように『テトリス』とともに日本における落ちものパズルの定番として長きにわたり親しまれてきた人気シリーズです。初登場は1991年のMSX2、ファミコンディスクシステム版でしたが、すでに次世代機が登場していたこともあり当時は今ほどの有名タイトルではなかったようです。

ヒットのきっかけとなったのは翌年に稼働したアーケード版の『ぷよぷよ』。前作をベースにゲームシステムをアーケード向けに調整された本作は、『テトリス』の上陸以降1つのジャンルとして定着していた落ちものパズルと、当時『ストリートファイターII』により大ブームとなっていた対戦ゲーム要素が組み合わさった異色の作風で注目を集めました。当時では珍しい対戦型のパズルゲームとして再登場した『ぷよぷよ』はそのシステムだけでなく、開発のコンパイルが手がける別作品『魔導物語』のキャラクターを採用したキャッチーな外見と積み上げたぷよが連鎖して消滅する際の連鎖ボイスも話題となっていたようです。

当時は対戦ゲームが大ブームとなっていたこともあり『ストリートファイターII』の近くに筐体が置かれていたり、1993年にはスーパーファミコンで移植版が発売されたことで『ぷよぷよ』のユーザーはどんどん増えていきました。

対戦システムがより洗練された『ぷよぷよ通』

アーケード版『ぷよぷよ』は間違いなくヒットした名作ですが、それ以上の大ヒットを記録し、『ぷよぷよ』ブームを巻き起こしたのが1994年稼働のアーケードゲーム『ぷよぷよ通』です。

移植やアレンジではない『ぷよぷよ』の第2作目として稼働した『ぷよぷよ通』では、新要素として全消し・クイックターン・相殺が実装。おじゃまぷよへの対抗策に乏しく「先に連鎖を組んで対戦相手に圧倒する」という前作のゲーム性にメスをいれ、反撃への余裕を持たせたことで現在まで通用する洗練されたゲーム性が確立されました。

以降現在に至るまでユーザー間でもさまざまなテクニックが生み出されており、上級者のプレイではお互いが組んでいる連鎖の読みあいなど、自身のパズルだけでなく対戦相手の画面も確認するようなパズルゲームと対戦要素が高度に融合した競技性となったことでeスポーツ

『ぷよぷよ』シリーズは定番ゲームとして完全に浸透し、開発のコンパイル解散といった苦難もありましたが、『ぷよぷよフィーバー』や『ぷよぷよテトリス』での再注目、eスポーツへの本格参戦など定番ゲームとしての立ち位置を残しながら進化を続けています。

参考:GAME Watch – 「ぷよぷよ」細山田Pも飛び入り参加! 「SEGA AGES ぷよぷよ通」インタビュー

参考:電ファミニコゲーマー – 波乱万丈の『ぷよぷよ』30年の歴史を振り返る──社会現象になるほど大ヒットするも、経営破綻で権利がセガに。思い切って世界観を一新したのが功を奏し、ついにはeスポーツ化へ

1995年から公式大会開催。イベントには3万人以上が来場する『ぷよぷよ』

1991年の初代発売から現在に至るまで30年以上の歴史を持つ『ぷよぷよ』ですが、対戦要素のある本シリーズは競技シーンでも非常に長い歴史を持ちます。

現在では『ぷよぷよeスポーツ』がリリースされており、非常にわかりやすい形でeスポーツに前向きな姿勢が伺えますが、実は1995年から公式での対戦会や大会が開催されています。

第3回全日本ぷよマスターズ大会の様子(動画は個人チャンネルより引用)

『ぷよぷよ通』稼働の翌年1995年、開発のコンパイルによって開催された『第一回全日本ぷよマスターズ大会』は有明コロシアムにて実施され、来場者数は現在のeスポーツイベントと比較しても劣らない1万人以上※2。

※2)参考:『ぷよぷよ』誕生秘話に大興奮 『魔導同窓会!コンパイルナイト!!』レポート

東京駅が『第一回全日本ぷよマスターズ大会』への参加者であふれ、東京駅側からお叱りを受けたというエピソードから当時の『ぷよぷよ』人気の高さが伺えます。

翌1996年には『ぷよぷよ通』ルールが大会種目に正式採用された『第2回全日本ぷよマスターズ大会』が開催されており、こちらでは前年大会を大幅に上回る1万8千人が来場。

会場ではぷよをモチーフとした饅頭『ぷよまん』の販売や、移植版である『ぷよぷよ通 決定盤』の声優オーディションが開催されており、グッズ展開や会場でのイベントでも注目を集めていました。

画像は2023年発売の「ぷよぷよまんじゅう」。セガよりキャラクターライセンスを受け、平安堂梅坪が当時のものを再現し、販売している。
画像は2023年発売の「ぷよぷよまんじゅう」。セガよりキャラクターライセンスを受け、平安堂梅坪が当時のものを再現し、販売している。

1997年にはコンパイルが主催する最後の大会「第3回全日本ぷよマスターズ大会」が開催され、同大会には約3万人というゲームイベントではトップクラスの来場者数を記録しました。

コミュニティ大会の開催とeスポーツ化

この頃にはコミュニティ大会も活発に行われるようになっており、セガへの引継ぎ後も大小さまざまな大会が開催されています。

2000年代に入るとトッププレイヤーたちが主催する規模の大きな大会や対戦イベントも開催されており、2006年には『ぷよぷよフィーバー 』を用いたオンライン対戦イベント『第1回ぷよぷよフィーバー 日韓対抗戦』も開催されました。

2010年代では世間的には家庭用ゲーム機での定番ゲームに落ち着いていた『ぷよぷよ』ですが、競技シーンでは現在のeスポーツ化を予感させる動きが見られます。

セガ公式大会『太陽生命 ぷよぷよグランプリ 2024 ファイナル』の様子

ゲームセンターを拠点とするアーケード版では全国の強豪プレイヤーたちが非公式団体『日本ぷよ連盟』を結成し、2011年から『ACぷよぷよ通 S級リーグ』などの非公式大会を開催。S級リーグへの出場を決めるA級リーグとともにトッププレイヤーの高度なプレイが見られる大会として注目を集めました。

2012年にはRed Bullが主催するゲームイベント「Red Bull 5G」※4の1種目として採用されたことで、『ぷよぷよ』がeスポーツタイトルとしての注目を集めます。

参考:【Red Bull 5Gの歴史】心を奮い立たせるドラマの数々【2012~2016総まとめ】(外部サイト)

※4)Red Bull 5G:Red Bullが主催するゲームイベント。格闘ゲームやレーシングゲームなど5つのジャンルのゲームで、オンライン予選と東西地区代表決定戦を行い、勝ち抜いたトッププレーヤーたちが東西チーム別れて競い合う。2012年の初開催以降ほぼ1年に1度のペースで開催されている。

当時の日本にはeスポーツという概念はまだなく、競技性のあるビデオゲームといえば格闘ゲームやFPSジャンルに注目が集まるなか開催された第1回「Red Bull 5G」では『グランツーリスモ5』、『バトルフィールド 3』、『FIFA 12 ワールドクラス サッカー』、『ストリートファイター X 鉄拳』とともに『ぷよぷよ!!』が選出。

以降の開催でも『ぷよぷよ』関連タイトルが採用されていることで、競技性の高いタイトルとしての注目が集まりました。

競技シーンでの注目もあってか2016年にはセガが主催する『セガ公式「ぷよぷよ」最強プレイヤー決定戦』が開催。公式でも競技シーンの流れが取り入れられはじめ、2018年にはeスポーツの名を冠した『ぷよぷよeスポーツ』が発売されます。

セガの公式大会は2016年以降も定期的に実施されており、現在では女性プレイヤーにフォーカスした女性大会も開催。大会情報やプロ選手の一覧を確認できるeスポーツに特化した特設サイトも開設し、eスポーツへの積極的な取り組みが続いています。

セガ公式『第3回 ぷよぷよレディースカップ』の様子

公式サイトはこちら

ぷよぷよ競技シーンで活躍するプロ選手

古くから競技シーンでの活動が続いている『ぷよぷよ』ですが、現在ではプロライセンスをもった選手も活躍しています。

『ぷよぷよ』では2018年よりJeSUのプロライセンス認定大会が開催されており、大会の入賞者にはプロライセンス発行の権利を与えてきました。現在では30名以上の選手がライセンスを取得しており、競技シーンでの活躍を見せています。

ここからはプロライセンスを取得した選手より一部をご紹介します。

Kamestry 

X
配信サイト

経歴
プロ資格:2018年3月30日
ぷよぷよチャンピオンシップ in セガフェス2018 準優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度 8月大会 優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON2 3月大会  準優勝

選手名鑑リンクはこちら

あめみやたいよう

X
配信サイト

経歴
プロ資格:2018年4月3日
ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度 8月大会  ベスト4
ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度 2月大会  ベスト4

選手名鑑リンクはこちら

くまちょむ

X
配信サイト

経歴
プロ資格:2018年3月29日
ぷよぷよチャンピオンシップ in セガフェス2018  優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度 10月大会  優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON2 6月大会  準優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON5 STAGE4  優勝

選手名鑑リンクはこちら

ともくん

X
配信サイト

経歴
プロ資格:2019年4月13日
ぷよぷよチャンピオンシップ  SEASON2 3月大会  優勝
ぷよぷよファイナルズ SEASON2  優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON3 STAGE2  優勝
ぷよぷよファイナルズ SEASON4 優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ  SEASON5 STAGE2 優勝
ぷよぷよファイナルズ  SEASON5 鹿児島 優勝
ぷよぷよグランプリ 2024 2nd  優勝

選手名鑑リンクはこちら

ぴぽにあ

X
配信サイト

経歴
プロ資格:2018年6月3日
ぷよぷよチャンピオンシップ  2018年度 2月大会 優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ  SEASON3 STAGE1 優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ  SEASON3  TGS特別大会 優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON3  STAGE3 優勝
ぷよぷよファイナルズ SEASON3   優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ  SEASON4  STAGE2 優勝

選手名鑑リンクはこちら

マッキー

X
配信サイト

経歴
プロ資格:2022年3月26日
ぷよぷよチャンピオンシップ 2018年度 6月大会 優勝
ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON2 12月大会 優勝
ぷよぷよグランプリ 2024 1st  優勝
ぷよぷよグランプリ 2024 2nd  準優勝

選手名鑑リンクはこちら

まとめ

1990年代に社会現象を巻き起こす大ブームとなった『ぷよぷよ』は現在、eスポーツという舞台で再注目されています。

さまざまなゲームジャンルで発展したeスポーツのなかでも、暴力表現のない『ぷよぷよ』は子供から大人まで楽しめる作風から地方自治体からの注目も高く、全国都道府県対抗eスポーツ選手権などでも採用タイトルに選ばれています。

発売から30年以上が経った現在でもさらなる発展を見せる『ぷよぷよ』にぜひ注目してみてください。

 

JCGではeスポーツのイベント開催や番組制作に関するご相談を受け付けております。

大会運営・番組制作・配信技術など、お困りのことがございましたらぜひご連絡ください。

お問合せフォーム

資料ダウンロードフォーム

この記事を共有