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ゲームが競技に変わったレースゲーム。eモータースポーツとして関心が高まるレースゲームの歴史・注目タイトルをご紹介

2025.10.09

ゲームが競技に変わったレースゲーム。eモータースポーツとして関心が高まるレースゲームの歴史・注目タイトルをご紹介

eスポーツに採用されるレースゲーム

ビデオゲームを用いた競技“eスポーツ”への関心が高まっており、日本でもこの10年ほどでその存在の認知が広がっています。

ゲームの大会に出場するトッププレイヤーの存在やビデオゲームの競技シーンの存在自体は日本でも古くからゲーマーの間では認知されていましたが、2010年代後半からはテレビなどのメディアでも取り扱われる機会も徐々に増えてきました。

直近ではサウジアラビアで開催された世界最大規模のeスポーツ大会「Esports World Cup」や、2027年開催予定のビデオゲームを正式種目としたeスポーツオリンピック『オリンピックeスポーツゲームズ』の発表といった大きな話題が続いたほか、

日本でも株式会社カプコンが主催する「ストリートファイター」シリーズの世界大会「CAPCOM CUP 12」の国内開催が決まっており、世界だけでなく日本でもさらなる盛り上がりが期待されています。

ビデオゲームを用いた競技であるeスポーツには格闘ゲームやFPS/TPSにMOBA/RTS、カードゲーム、パズルゲームなどなど、たくさんのジャンルが内包されており、各ジャンルで熱い戦いが繰り広げられています。

本稿ではそんな数あるeスポーツのゲームジャンルの中でも、異色の発展を遂げているレースゲームのeスポーツシーンについてご紹介します。

レースゲームの進化と競技シーンの発展

レースゲームはビデオゲームにおける定番ジャンルであり、eスポーツシーンでも規模の大きな大会が開催される一大ジャンルですが、レースゲームのeスポーツシーンを紹介する前にまずはレースゲームの歴史について軽く触れておきましょう。

レースゲームといえば「マリオカート」や「グランツーリスモ」といった現在でも人気のビデオゲームを思い浮かべる方が多いかと思いますが、レースゲームの歴史は非常に長く、ビデオゲーム以前のアーケードゲームまで振り返ると1900年代中期にまでさかのぼることができます。

ビデオゲームが登場する以前から自動車をテーマとしたアーケードゲームが存在しており、海外では1930年頃から回転する土台に描かれた道から車が逸れないように車を操作するドライブゲームが登場しました。

▲『ミニドライブ』をプレイする様子(動画は個人チャンネルより引用)

日本では1958年に関西精機製作所が制作した『ミニドライブ』が登場。こちらも道が描かれたベルトの上を走る車を操作するアーケードゲームで、ベルトの途中途中にある金属のマークを踏みながら高得点を目指すというものでした。

ビデオゲームの登場以降は試行錯誤を繰り返しながらさまざまなレースゲームが登場しましたが、なかでもヒット作として知られているのが1982年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)がリリースした『ポールポジション』です。

▲『ポールポジション』をプレイする様子(動画は個人チャンネルより引用)

現代のレースゲームに比べると非常にシンプルなデザインのアーケードゲームですが、アクセル・ブレーキ・ハンドル・2段階ギアの筐体で操作し、トップビューではなくリアビューが採用採用された『ポールポジション』は後のレースゲームに大きな影響を与えたとされています。

同時期には任天堂のファミリーコンピュータが登場したことで家庭にもビデオゲームが浸透。1984年には『ポールポジション』に影響を受けた『F1レース』がリリースされ、家庭でもレースゲームが楽しめるようになりました。

https://www.nintendo.com/jp/famicom/software/hvc-fr/index.html?srsltid=AfmBOoovuxPuNpchgXx3xGxeQwAkBv7XlUmlxqx5GrA_x8L5DpEc6Wjz

3Dグラフィックで飛躍的な進化を遂げるレースゲーム

1990年代に入るとビデオゲームはさらに進化し、スーパーファミコンでリリースされた『F-ZERO』や『スーパーマリオカート』が大ヒットを記録するなか、レースゲームは新たな時代に突入します。

1993年に稼働したアーケード版『リッジレーサー』はその筆頭で、当時の水準を上回る美麗な3Dグラフィックと豪快なドリフト走行、 テクノミュージックを採用したBGMが特徴的な作品でした。

『リッジレーサー』は翌年に登場したPlayStationのローンチタイトルにも選ばれており、3Dのレースゲームが家庭でも楽しめる移植版は大ヒットを記録します。

PlayStationの登場後はさまざまなレースゲームが登場しており、『リッジレーサー』に続くかたちで3Dに挑戦した作品も次々生み出され、1997年にはついに日本を代表するレースゲーム『グランツーリスモ』が登場します。

『グランツーリスモ』は物理演算エンジンをゲームにしっかりと組み込み、縁石に乗り上げれば車体が跳ねるようなリアルな挙動を再現。車も実在する車種を実名で収録した当時では珍しいリアル志向のレースゲームでした。

グラフィック・挙動・収録車種とリアルさが車好きやゲーマーに受けた『グランツーリスモ』は日本だけでなく世界でも注目を集め、全世界で1,000万本を売り上げる大ヒットを記録。これによりリアルさを重視したレースゲームのサブカテゴリが誕生します。

2000年以降には運転の過激さを売りとするカジュアルなタイトルからバトル要素を重視するタイトル、リアルさを売りとするタイトルなど、サブカテゴリで棲み分けながら多彩なレースゲームが次々と誕生。

現在まで続くリアル系レースゲーム『Forza Motorsport』や、レースの枠組みを越えたドライビングシミュレーター『Euro Truck Simulator』といった話題作も登場します。

レースだけでなくドライブを楽しむゲームも増えており、20000年代では『FUEL』や『Test Drive Unlimited 』、2010年代では『Forza Horizon』や『The Crew』が広大なマップを採用したレースゲームとして注目を集めました。

シミュレーションゲームの一般化と競技シーンの発展

近年のレースゲームジャンルでは『The Crew』のような広大なマップで公道レースやドライブを楽しむカジュアルなレースゲームも高い人気を集めていますが、ジャンルとしてのメインストリームはリアルな挙動を再現するレーシング・シミュレーションと呼ばれるようなタイトルにやや傾いています。

この背景にはさまざまな要因が考えられますが、非常にリアルなシミュレーションを行うレースゲームが一般に販売され、手軽に手にすることができるようになったことが、そのひとつであると考えられます。

シミュレーション要素の強いレースゲームでは、基本的な車の挙動だけでなく、車体のセッティングやタイヤの消耗、車体の損傷に燃料消費、サーキットの路面状況に至るまで、さまざまな要素をシミュレートします。

近年のレーシング・シミュレーションの進化は目覚ましく、本格的な専用コントローラーなどを用意すれば実車と同じとまではいかないものの、現実のプロレーサーの練習に使用できるほどまでに現実に近づけることができます。

また、2010年代後半からは品質の良いレースゲーム専用のコントローラーが手に入れやすくなっており、ゲーミングPCの一般化とともにプレイ環境を整えるハードルが以前よりも下がったこともメインストリーム化の要因と考えられます。

レースゲームのeスポーツ化につながる「GTアカデミー」

レースゲームの中でもジャンルが細分化され、インターネットが普及した2000年代以降ではレースゲームにもオンライン対戦やタイムを競う文化が発展します。

現在では“eレーシング”や“eモータースポーツ”という新たな競技として捉えられているレースゲームですが、eスポーツ化に至る原点のひとつに2007年に発売された『グランツーリスモ5 プロローグ』があります。

『グランツーリスモ5 プロローグ』

2010年に発売した『グランツーリスモ5』の先行販売版。オンライン対戦を実装した

「グランツーリスモ」シリーズ初のナンバリング作品。

世界中のプレイヤーがPlayStation 3で進化した新たな「グランツーリスモ」、そしてシリーズ初のオンラインレースを楽しんだ。

『グランツーリスモ5 プロローグ』発売の翌年2008年、欧州日産とソニー・コンピュータエンタテインメント・ヨーロッパ(現、SIEE)は「GTアカデミー」という新たなプロジェクトを発表します。

GTアカデミーは日産とソニーが主催する「グランツーリスモ」のプレイヤーからレーシングドライバーを養成するプログラムでした。

この養成プログラムではオンラインタイムアタックを通じヨーロッパ10か国から30名の上位プレイヤーを選出し、実際のサーキットと実車を用いたブートキャンプで最終試験を実施。

筆記テスト、メディカルテスト、基礎体力判定、ドライバー心理の講義などの走行以外のテストも行われ、最終試験を突破した勝者にはレーシングライセンス取得のトレーニング、そしてドバイで開催される24時間レースへの参加権が与えられました。

初年度ではスペインのルーカス・オルドネス氏が最終選考を突破し、GTアカデミーを背負って現実のモータースポーツに参戦。多くの結果を残しました。

GTアカデミーは以降も2016年まで開催されており、なかでも有名なのが2011年度のGTアカデミーです。

2011年度のGTアカデミーは2023年に公開された映画『グランツーリスモ』の題材となった年で、9万人ものプレイヤーの中からヤン・マーデンボロー氏がプロレーサーへの切符を手にしました。

ヤン・マーデンボロー

ヤン・マーデンボロー氏は翌年のドバイ24時間レースに出場し、SP2クラスで3位入賞。同年のブリティッシュGT選手権では1回の優勝を飾り、GT3クラスでは総合6位でシーズンを終えた。

2013年にはGTアカデミー勝者では初となるフォーミュラカーに挑戦。同年のルマン24時間レースにも参戦し、LMP2クラス3位入賞を飾っている。

映画「グランツーリスモ」は2011年度のGTアカデミー、そしてその勝者であるヤン・マーデンボローの実話をベースに制作されており、『グランツーリスモ』のトッププレイヤーが本物のプロレーサーとなるまでの葛藤と挫折、成長の物語が描かれています。

『グランツーリスモ』

ストーリー

世界的大ヒットのドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中なヤン。父親からは「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」とあきれられる日々。そんなヤンにビッグチャンスが訪れる。世界中から集められた「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを、本物の国際カーレースに出場するプロレーサーとして育成するため、競い合わせて選抜するプログラム「GTアカデミー」だ。プレイヤーの並外れた才能と可能性を信じて「GTアカデミー」を立ち上げたひとりの男と、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと思いながらも指導を引き受ける元レーサー、そしてバーチャルなゲームの世界では百戦錬磨のトッププレイヤーたちがそこに集結。彼らが直面する、想像を絶するトレーニングやアクシデントの数々。不可能な夢へ向かって、それぞれの希望や友情、そして葛藤と挫折が交錯する中で、いよいよ運命のデビュー戦の日を迎える――。(公式サイトより)

GTアカデミーは2016年に終了しましたが、この頃にはeスポーツも一般化しており、レースゲームもまたレーシング・シミュレーションを用いたモータースポーツとして発展しています。

現在のレーシング・シミュレーションではプレイヤー同士のレースも従来のレースゲームのような対戦という位置づけではなく競技として捉えるユーザーも多く、一般ユーザーが参加する本格的な大会も開催されています。

「グランツーリスモ」でも2017年にはeスポーツを意識した『グランツーリスモSPORT』が発売され、FIA(国際自動車連盟)とタッグを組んだFIA グランツーリスモ チャンピオンシップやGT公式大会グランツーリスモ ワールドシリーズが開催されてきました。

「グランツーリスモ」や「F1」のような大型のタイトルでは、実際の自動車メーカーが協賛、あるいは主催するような大会も開かれており、ひとつの競技としてトッププレイヤーが自動車メーカーの名を背負って競い合う姿も見られるようになっています。

eスポーツで採用されているレースゲーム

eスポーツ化したレースゲームの例として「グランツーリスモ」を取り上げましたが、現在ではそのほかいくつものレーシング・シミュレーションが登場しています。

近年ではeスポーツ大会での採用も増加傾向にありますが、車やレースゲームの知識がないから楽しめないのではと考えている方も多いのではないでしょうか。

本項ではレーシング・シミュレーションのeスポーツ大会の見どころ、そして注目のeスポーツタイトルをご紹介します。

eモータースポーツの見どころ・楽しみ方

レーシング・シミュレーションゲームを用いたeスポーツ大会では、他ジャンルと同様にテクニックや読み合いのようなさまざまな見どころがありますが、最初は下記のように注目ポイントを絞って観戦すると楽しみやすいでしょう。

日本語解説のある大会を観戦する

レーシング・シミュレーションゲームを用いたeスポーツ大会は世界中で行われており、日本語での配信の無い英語圏を中心とした大会も多くあります。

当たり前のことではありますが詳しくないスポーツを解説なしに楽しむのは難しいため、最初に観戦する大会は「グランツーリスモ ワールドシリーズ」のような日本語での解説や実況のある大会を選ぶといいでしょう。

見知ったチームやメーカーを応援する

eモータースポーツと呼ばれるような大会では世界中のトッププレイヤーや日常的に見かける自動車メーカーなどが参加しています。

応援する選手のことをよく知らない段階では、選手の所属チームや運転している自動車のメーカーから応援する選手を選んでみてはいかがでしょうか。

コース上の駆け引き

モータースポーツの見どころは現実もゲームもやはりコース上での駆け引きです。eスポーツ大会に出場するようなトッププレイヤー同士の戦いではオーバーテイク(追い超し)も簡単ではありません。

オーバーテイクのタイミングを予想してみたり、オーバーテイクした選手がどのようにチャンスを伺っていたのか、あるいは阻止しようとする選手の動きに注目してみると、コーナーやストレートでの走りの見え方が変わってくるかと思います。

チームやドライバーによるコース外での駆け引き

eモータースポーツでの駆け引きはコース外でも行われており、ピットやチーム編成などいくつもの見どころがあります。

チーム戦ではドライバーの得意な走り方を考慮して走行順が決められているため、観戦に慣れてきたら応援するチームの走行順がどのように決められたのか考察してみるのも楽しみのひとつとなるでしょう。

現実のモータースポーツ同様にeモータースポーツでもタイヤの交換などでピットインが発生します。

タイヤの種類によるタイムへの影響やピットインによるタイムロス、天候の影響を受けにくいタイヤの選択などタイヤ戦略だけでもかなりの奥深さがあります。

チームやドライバーがどのようなタイヤ戦略をとるのか、そしてその戦略が実際にどのような影響を与えたのか、こちらも観戦に慣れてきたら注目してみるといいでしょう。


Assetto Corsaシリーズ

Assetto Corsa Competizione – Official Trailer V1.1

2013年から続くPCを中心に人気のレーシング・シミュレーションゲームです。第一作となる『Assetto Corsa』は挙動のリアルさと、エンジン音の再現度の高さから非常に高い評価を得ました。

『Assetto Corsa』は拡張性が高く、DLCやMODの導入によって車やサーキットを追加し、遊びの幅を広げることができます。現在もユーザーによるMODのサポートは続いており、発売から10年以上を経た現在も高い人気を維持しています。

2019年に発売された『Assetto Corsa Competizione』はスポーツカーを中心に豊富な車両を用意した前作と異なり、ターゲットをGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(あるいはブランパンGTシリーズとも)にしぼり、グループGT3車両に特化したレーシング・シミュレーションゲームとしてリリースされました。

前作よりもサーキットを走ることやマルチプレイを重視して作られた『Assetto Corsa Competizione』は競技シーンとしても注目されており、ランボルギーニ主催のeスポーツ大会「The Real Race – Super Trofeo Esports」などでも採用タイトルに選ばれています。

▲2024年「The Real Race – Super Trofeo Esports」ラウンド1の様子

「Assetto Corsa」シリーズは現在そのどちらもがマルチプラットフォームで展開されており、ゲーミングPCを持たないプレイヤーでも本格的なレーシング・シミュレーションを楽しめるのも特徴です。

2024年にはシリーズ最新作となる『Assetto Corsa EVO』のリリースが予定されており、

第一作のような多彩な車種を収録した作品となることが告知されています。

F1(Formula One)シリーズ

伝統あるモータースポーツの一角「FIA Formula One World Championship/フォーミュラ1」の正式ライセンスを受けたレーシング・シミュレーションゲームシリーズです。

フォーミュラ1に特化した本作は毎年収録したデータやコンテンツを更新しながら新作がリリースされており、近年の作品ではストーリーモードにあたるシングルプレイ用モードにさらなる改善が見られ、高い評価を得ています。

オンラインレースではクリーンな走り、つまり意図的な接触など乱暴なプレイをしないプレイヤーほど上位のライセンスが得られる仕組みなども導入されており、サーキットでのマナーを学べるような作品でもあります。

フォーミュラ1の公式ライセンスを取得した作品ということで、公式世界大会だけでなく、リアルレースのスポンサーが主催する大会等も開催されています。

Forza Motorsportシリーズ

2005年からXboxを中心に展開されてきたレーシング・シミュレーションゲームです。第一作はPlayStationで展開されてきた「グランツーリスモ」と対になる本格派のレースゲームとして話題となりました。

6年ぶりの新作となった『Forza Motorsport』では500を超える車種が収録されており、最新のスポーツカーから、ホンダ・RA300のような1960年代のフォーミュラ1カーまで、さまざまな年代の名車を用いてレースが楽しめます。

シリーズ初期から豊富なカスタマイズを用意していたのも特徴で、『Forza Motorsport 2』からいち早く取り入れらえていたペイント機能も健在。最新作でも車のパーツセッティングはもちろん、オリジナルのラッピングカー作りも楽しまれています。

初心者向けの設定やチュートリアルも豊富で、レーシング・シミュレーションゲームに不慣れなビギナーにおすすめされる定番のタイトルでもあります。

▲2022年の「Logitech McLaren G Challenge」グランドファイナルの様子

eスポーツ大会の採用タイトルとして選ばれることも多く、Logitechとマクラーレンが共同で開催する世界大会「G Challenge」のような大型大会でも採用されています。

また、スピンオフ作品としてオープンワールドで公道レースを楽しむ「Forza Horizon」シリーズが展開されており、比較的カジュアルなレースゲームとして高い人気を獲得しています。

GRAN TURISMOシリーズ

PlayStationで25年以上にわたって展開されてきた歴史あるレーシング・シミュレーションゲームです。本稿でもお伝えした通りレースゲームに多大な影響を与えた第一作から最新作に至るまでリアルさを重視したゲーム性となっています。

最新作となる『グランツーリスモ7』は発売時点で400を超える車種と34のサーキットを収録しており、発売後もアップデートによってゲームボリュームを拡大しています。

「Forza Motorsport」同様にビギナーフレンドリーなレーシング・シミュレーションの一面もあり、レースの基礎を学べるチュートリアルやストーリーモードなどシングルプレイヤーモードも豊富に用意されています。

『グランツーリスモSPORT』以降では公式大会「グランツーリスモ ワールドシリーズ」や「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2023(マツダ主催)」のような実際の自動車メーカーが主催する大型の大会が開かれています。

▲2023年のGTワールドシリーズ ネイションズカップ グランドファイナルの様子

2018年以降毎年開催されている「グランツーリスモ ワールドシリーズ」では個人が速さを競い世界最速のプレイヤーを決めるネイションズカップと、自動車メーカーを背負ったプレイヤーが3人一組でメーカー対抗戦を行うマニュファクチャラーズカップというふたつのチャンピオンシップで構成されており、現実のモータースポーツにも引けを取らな熱いレースが繰り広げられています。

iRacing

現在主流となるレーシング・シミュレーションのなかでもオンラインレースに特化し、より本格的レースが楽しめるタイトルとして親しまれているのが『iRacing』です。

『iRacing』では大小さまざまな公式・非公式レースが開催されており、非常に本格的なレーティングが採用されているのが特徴です。

レースの結果によって増減するドライバーの実力を示すレーティングとドライバーの優良性を示すレーティングが採用されていることで、一般的なレースゲームよりもより平等性と競技性が保たれたレースが行われるようになっています。

また、一般的なレースゲームのような買い切り制ではなく、サブスクリプション+マイクロトランザクション制が採用されているのも特徴で、『iRacing』をプレイするには1か月・3か月・1年・2年のプランから自分に合ったプランを購入する必要があり、車やコースも一部を除いて個別に購入する必要があります。

▲『iRacing』上で開催される「ニュルブルクリンク24時間レース」の様子(動画は個人チャンネルより引用)

一般的なレースゲームよりもややハードルの高いタイトルではあるものの、個人戦の短めのレースからチームを組んでマシンを乗り継ぎながら行う6時間や24時間の耐久レースまで、多彩なレースが開催されています。

Le Mans Ultimate

『Le Mans Ultimate』は2024年2月に早期アクセス版がリリースされたばかりのレーシング・シミュレーションゲームで、リアルなレースゲームとして高い人気を誇る『rFactor 2』のStudio397が開発しています。

FIA世界耐久選⼿権(WEC)とル・マン24時間レースからライセンスを得ており、収録車種・コースはそれに準ずるものとなっています。

早期アクセスとしてリリースされたばかりのため、大型のeスポーツ大会などでの採用はまだ見られないものの、リアルさを売りとしていた『rFactor 2』の開発元が手掛けていることや、実在するレースからライセンスを得ているため、今後eモータースポーツとして大会が開催されることも考えられます。

RENNSPORT

『RENNSPORT』は2024年7月からオープンベータ版がリリースされているレーシング・シミュレーションゲームです。

最新のゲームエンジンUnreal Engine5を採用した初のレーシング・シミュレーションで、高品質なグラフィックとリアルな物理シミュレーションによるハイレベルなレース体験が提供される予定です。

『RENNSPORT』はまだ開発中のタイトルですが、すでにeスポーツ化の動きが確認できています。

2024年5月からはESLと提携した独自のリーグを展開しており、8月には「Esports World Cup」で決勝大会が開催されました。

WRCシリーズ

モータースポーツのなかでも特に長い歴史を持つ世界ラリー選手権(WRC)より公式なライセンスを得たレーシング・シミュレーションゲームが「WRC」シリーズです。

ラリーは一般的なサーキットを用いたレースと異なり、公道が走行可能な車と一般の公道を用いて行われるモータースポーツで、封鎖された公道で1台1台が順番にタイムアタックを行います。

「WRC」シリーズではいくつものグループに分かれたラリーカーが収録されており、最新シーズンで走行した現行車種から歴代のクラシック車種でラリーに挑むことができます。

世界ラリー選手権からライセンスを得た「WRC」シリーズは毎年のようにリリースされているものの、ライセンス更新の都合により開発元や販売元が度々変更されています。そのためeスポーツ大会の開催や採用もその時々で異なります。

▲『WRC10 FIA世界ラリー選手権』世界大会「Esports WRC World Final 2022」の様子

『WRC10 FIA世界ラリー選手権』では世界大会なども開催されており、己の走りを極めタイムを競うラリー競技独特の熱いレースが繰り広げられました。

eモータースポーツ大会に出場する日本人選手

現在世界中で大会が開催されているeモータースポーツですが、日本からも世界で活躍するドライバーが排出されています。

本項ではeモータースポーツで活躍する日本人選手をご紹介します。

冨林勇佑


2016 FIA グランツーリスモチャンピオンシップ マニュファクチャラーカップ優勝
FIA グランツーリスモチャンピオンシップ ネイションズカップ2位

公式SNS https://x.com/y_tommy504
JEGT GRAND PRIX認定ドライバー

川上 奏

2018 FIAGTC WF マニュファクチャラーシリーズ優勝
2019 全国都道府県対抗eスポーツ選手権 一般の部2位
2019 GR Supra GT CUP 決勝3位
2020 FIAGTC WT シドニー マニュファクチャラーシリーズ3位

公式SNS https://x.com/kawakana222
JEGT GRAND PRIX認定ドライバー

国分諒汰


2018 Nations Cup Asia/Oceania Final 優勝
2021 World Series 2021 Showdown 優勝
World Series 2022 Round 3 マニュファクチャラーカップ 優勝
World Finals 2023 マニュファクチャラーカップ 優勝

佐々木 拓眞


全国都道府県対抗eスポーツ選手権三重 2021 U18の部優勝
全国都道府県対抗eスポーツ選手権栃木 2022 U18の部優勝
BRIDGESTONE GT タイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing』 2022 優勝
TGR GT CUP 2022 グランドファイナル 3位
2023マニュファクチャラーシリーズ showdown チームポルシェ 優勝

公式SNS https://x.com/Taku_110202
JEGT GRAND PRIX認定ドライバー

山中 智瑛


World Tour 2019 – Nürburgring マニュファクチャラーズカップ 優勝
World Finals 2019 マニュファクチャラーズカップ 優勝
World Series 2021 Showdown マニュファクチャラーズカップ 優勝
World Finals 2021 マニュファクチャラーズカップ 優勝

公式SNS http://twitter.com/yamado_racing38
JEGT GRAND PRIX認定ドライバー

宮園 拓真


FIA グランツーリスモ選手権 2020 ネイションズカップ ワールドチャンピオン
FIA グランツーリスモ選手権 2020 マニュファクチャラーシリーズ ワールドチャンピオン
JEGT 2020 個人戦 チャンピオン
JEGT 2021 チーム戦 チャンピオン

公式SNS https://x.com/Kerokkuma_ej20
JEGT GRAND PRIX認定ドライバー

まとめ

長い歴史を持つレースゲームは現在、リアルな挙動を再現するレーシング・シミュレーションゲームを用いたeモータースポーツとして新たな歴史を歩み始めています。

ピットインや天候、タイヤの摩耗などFPSや格闘ゲームとはまた違った駆け引きと熱い戦いが繰り広げられるeモータースポーツの世界を覗いてみてはいかがでしょうか。


JCGではeスポーツの大会番組制作関するご相談を受け付けております。
eスポーツに絡めたもちろん今回ご紹介したタイトルでのご提案なども可能ですので
ぜひ一度お気軽にお問合せください。


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