目次
Z世代が牽引するeスポーツの未来
スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ現代において、若年層を中心に「遊び」や「コミュニケーション」といった人との繫がり、向き合い方に大きな変化が生まれています。
なかでもZ世代、2000年代前後に生まれ、デジタル環境に囲まれて育った世代の変化は大きく、学校や会社などリアルな交友関係とSNSなどのインターネットを通じた交友関係の違いは僅少なものになりつつあります。
多様な手段で人と繋がるZ世代では、さまざまコミュニケーションの手法が取り入れられており、オンラインゲームをはじめとするビデオゲームもまた日常の延長にある新たな接点であり、他人とのコミュニケーション手段のひとつとして自然に取り入れられています。
近年、国内でも注目度を増すeスポーツも、単なるゲームの域を超え、プレイヤー同士、視聴者同士がマッチする場としての存在感を増しています。
「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。
eスポーツとは:JeSU公式サイトより引用
本記事では、Z世代がなぜeスポーツに親しみを感じ、どのようにその文化と関わっているのかを掘り下げながら、新しいコミュニケーションのかたちとしての可能性、さらには企業とっての新たなアプローチとしての活用までご紹介します。
目次
- Z世代とeスポーツの親和性
- Z世代のゲーム文化と特徴
- インターネットを通じて繋がる選手とファンの新たな距離感
- Z世代に見られる“界隈”文化とeスポーツの融合
- Z世代と他世代の接点としてのゲーム
- 商品プロモーションとZ世代へのアプローチ
- まとめ
Z世代とeスポーツの親和性
近年よく耳にするZ世代とは、1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代を指します。
この世代にとって、デジタル環境は「使うもの」ではなく「存在していて当たり前」のインフラとして日常に根付いており、生まれた時からインターネットやスマートフォン、SNSと共に育ってきたデジタルネイティブ世代と言えるでしょう。
情報へのアクセスが容易であるだけでなく、自身から情報を発信することにも慣れているこの世代にとって、プレイヤーとして楽しむだけでなく、大会やストリーマーの配信を通じてSNSでの情報発信ができるeスポーツはライフスタイルに深くマッチする新たな繫がりのかたちとして受け入れられています。
また、Z世代には“界隈”と表現されるような、特定のコンテンツを中心とした所属意識を持ち、「好きなことを通じて人と繋がる」ことにも積極的です。
一緒にプレイしたり同時視聴を楽しめるeスポーツが持つZ世代との高い親和性は、eスポーツ市場の成長において無視できない要素として注目されています。
Z世代のゲーム文化と特徴
Z世代は一つのジャンルやタイトルに固執することなく、多様なゲームを横断的に楽しむ傾向があります。
FPS、MOBA、バトルロイヤル、対戦格闘ゲームなど、自身のプレイスタイルやスキルレベルに応じたゲーム選びをしており、『VALORANT』や『League of Legends』、『Apex Legends』、『ストリートファイター6』など、さまざまなタイトルが選ばれています。
また、eスポーツに関心を持つユーザーでも『Minecraft』や『Among Us』といった創造性や交流を楽しむタイトルに手を伸ばすケースは珍しくなく、ゲームを選ぶ手は広範囲に広がっています。
Z世代はトレンドの移り変わりに敏感であることも特徴で、ストリーマー達の間で特定のタイトルが注目を集めると、瞬く間に同じゲームへの関心が高まる様子もしばしば見られます。
このような傾向は2010年代以前とは比べられないペースに加速したコンテンツの消費スピードに対応し、その中で常に新しい体験や価値観を取り入れる必要があるZ世代以降のユーザー特有のものといえるでしょう。
また、Z世代はゲームを日常的なコミュニケーションツールとして活用していることも特徴で、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが2023年に実施した調査によれば、回答者の8割以上が遠隔で会話しながらゲームをプレイすると答えています。
参考:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント:Z世代のゲームに関する意識調査
インターネットを通じて繋がる選手とファンの新たな距離感
TwitchやYouTubeといったストリーミングプラットフォームを中心に活動するプロeスポーツ選手は、ライブ配信を通じて視聴者と双方向のコミュニケーションを築いています。
ゲームプレイだけでなく、リアルタイムのコメントを通じて、プレイのアドバイスや雑談など日常の一コマが共有されることで、従来のスポーツアスリートよりもファンと選手の距離感が近くなります。
Z世代はこのような環境の中で、単なる選手ではなく「応援したい存在」として選手への共感やある種の連帯感を持つと考えられます。
近年では競技シーンで活躍していた選手が引退後にストリーマーへ転身し、ファンとの新たな関係性を築いていくケースも確認されています。
選手の活動をリアルタイムで応援し続けたファンにとっては、選手の成長や苦悩もまた“共に歩んだ経験”であり、共感や連帯感を軸に「応援したい存在」となった選手には、ストリーマー転身後もそのまま応援するファンが定着すると考えられます
Z世代に見られる“界隈”文化とeスポーツの融合
Z世代に浸透するコミュニティの概念として“界隈”と表現されるものがあります。
界隈は特定のコンテンツを軸に形成されるコミュニティを指す言葉で、eスポーツ関連の分野では特定のゲームや選手、ストリーマーがその中心となっています。
ある種のネットスラングとして浸透する界隈の概念ですが、ゲームや選手を中心とした界隈では、SNSなどを通じたファン同士の交流や情報交換、ファンアートの共有などが活発に行われています。
同じゲーム、同じチーム、同じ選手を応援しているという、向いている方向がわかりやすいeスポーツではこの界隈文化との親和性が非常に高く、それぞれに熱心なファン層が形成されやすい環境であるといえます。
配信やSNSを通じた選手とファンのコミュニケーション、界隈によるSNSなどを通じたファン同士のコミュニケーション。このふたつの双方向コミュニケーションが組み合わさることで、Z世代におけるeスポーツの存在感はより一層大きなものとなっています。
Z世代と他世代の接点としてのゲーム
近年、リモートワークやフレックス制度の急速な普及による、オフィス内外での雑談や偶発的なつながりの減少など、社内でのコミュニケーション不足が問題視されています。
また、価値観やライフスタイルの違いによる世代間のコミュニケーションギャップや、共通の話題を持つことの難しさも新たな社会課題として関心が高まっています。
このような状況において、eスポーツが世代の垣根を越えた新たなコミュニケーションツールとして注目を集めています。
eスポーツは野球やサッカーと同様に、プレイヤーとして競い合うだけでなく、観戦しながら会話を楽しんだり、応援するチームや選手を通じて共感を共有したりと、さまざまな形で関わることができるため、世代を問わず自然なつながりを生みやすいのが特徴です。
前述したようにZ世代はゲームを日常的なコミュニケーション手段として活用しており、一緒にゲームをプレイしなくても、大会やイベントの感想など共通の話題、雑談のテーマとして用いることで、Z世代との関係性を築く柔軟かつ実用的なアプローチになり得ると考えられます。
商品プロモーションとZ世代へのアプローチ
Z世代へのプロモーションにおいて、eスポーツは単なるメディア露出の場ではなく、「信頼と共感に基づく購買行動」を生み出す新たな手段として注目されています。
なかでも、影響力のあるストリーマーやプロeスポーツ選手が実際に使用している製品やサービスは、Z世代にとって信用に値する選択肢として受け取られやすく、高い認知と購買意欲を生みやすい傾向にあります。
実際、ゲーミングデバイスやPCパーツ、周辺機器を購入する際に「あの選手が使っているから」、「あのストリーマーが配信で紹介していたから」といった理由で、商品を選んだという声はSNS上などでも多くみられます。
さらに、Z世代は日常的にゲームを通じて仲間とつながっており、プレイ中の会話やSNS上のやりとりから自然に商品やブランドの話題が広がる口コミ型の拡散効果も期待できます。
そのような共感や体験をベースとしたリアルな口コミは、自然に購買意欲を高める疑似的なプロモーションとして継続的な効果が期待できます。
まとめ
多様なゲームタイトルを通じた交流、配信やSNSを通した双方向なコミュニケーションなど、独自の価値観とともに新たな「つながりを持つ場」となったeスポーツ。
Z世代にとって遊びや競技を越えた日常的なコミュニケーションの一部となったeスポーツは世代間交流や企業によるプロモーションの手段としても有効性が高く、Z世代との関係性を深める柔軟なアプローチとして注目を集めています。
近年、日本でも急速な発展をみせるeスポーツを用いたZ世代の新たなコミュニケーションに、ぜひご注目ください。
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