デジタルマーケティングの領域では、時代に合わせて手法やツールは日々変化し続けています。
こうした中、近年注目を集めているのが「ウェビナー」や「オンラインカンファレンス」といった、オンラインを活用した集客施策です。これらは、限られた予算内で幅広い人々にアプローチできる手段として、多くの企業が導入を進めています。
ウェビナーとオンラインカンファレンスは、それぞれ異なる特性を持ちながらも、リード獲得やブランド認知の向上において高い効果を発揮します。
本稿では、ウェビナーとオンラインカンファレンスの違いや活用シーンを整理するとともに、これらの手法がマーケティング戦略の中核となっている理由を解説します。さらに、新たな集客施策であるリアル会場とオンライン会場で同時開催されるハイブリッド型オンラインイベントについてもご紹介します。
目次
デジタルマーケティングに不可欠のオンライン戦略
ウェビナーとオンラインカンファレンス
オンラインイベントは、現代のデジタルマーケティングにおいて不可欠な施策の一つとなっています。
その中でも代表的な形式が「ウェビナー」と「オンラインカンファレンス」と呼ばれる2つのオンラインイベント方式です。それぞれ異なる目的や構成を持ちながら、企業の情報発信や顧客との関係構築に寄与します。
ウェビナーとは?
ウェビナーは、「ウェブ(Web)」と「セミナー(Seminar)」を組み合わせた造語で、インターネットを通じてリアルタイムに実施されるセミナー形式のオンラインイベントを指します。
特定のテーマに絞ったセミナー形式のオンラインイベントであり、比較的少人数を対象とした教育的な内容が主流です。専門性の高いコンテンツを提供することで、視聴者との信頼関係を築く場として機能します。
オンラインカンファレンスとは?
一方のオンラインカンファレンスは、複数のセッションや登壇者によるパネルディスカッションなどを組み込んだ、より大規模かつ多面的なイベントです。幅広いテーマに対応できる柔軟性と、多様な参加者との交流機会を創出する点が特徴です。
両者はそれぞれ異なるアプローチでありながら、企業や商品に対する認知を広げることや、見込み客を見つけること、顧客との関係を深めるなどの目的において、いずれも高い効果を発揮します。
広域かつ柔軟な情報発信が可能な「ウェビナー」&「オンラインカンファレンス」
ウェビナーやオンラインカンファレンスといった、インターネットを通じて行われるオンラインイベントは、遠隔から企業や専門家が知見や情報を発信し、遠隔の参加者とも双方向のやり取りを実現できる場として、近年急速に発展し、浸透しています。
オンライン開催のメリット
これらのオンラインイベントが急速に広まった背景には新型コロナウイルス感染症の流行による、いわゆる3密を避けるための苦肉の策という側面もありますが、コストや柔軟性といったオンラインイベント特有のメリットも影響していると考えられます。
また、環境さえ整っていればどこからでも参加できるオンラインイベントは、従来のイベント方式ではアプローチの難しかった地域や層も対象となるだけでなく、参加者に関する詳細なデータの取得・分析といった新たなニーズに応える手段にもなります。
従来のイベント方式と比較すると、オンラインイベントは事前の登録情報に加え、視聴中の行動ログやアンケートなど情報を回収する手段が多く、アンケート提出のハードルも低いため、参加者の関心領域や行動傾向をより可視化できます。
柔軟性のあるイベント開催
ウェビナーやオンラインカンファレンスといったオンラインイベントは、前述のように高い柔軟性が大きな特徴です。
1度だけの開催なのか、複数にわたって開催するのか、参加者はどの程度の規模なのか、その開催目的や運営スタイルに応じて、多様な形式と規模で展開することが可能です。
また、業種や役職といった属性でターゲット層を細分化し、参加者の関心や課題に即したコンテンツを提供することで、ターゲット層を絞り高いエンゲージメントを実現する戦略的なアプローチも可能となります。
ブランディングとリード獲得
ターゲットを明確に設定したウェビナーやオンラインカンファレンスは、単なる情報提供にとどまらず、企業の専門性やビジョンを視覚化し、参加者に強い印象を与える有効な手段となります。高い集客効果と内容の深さを兼ね備えたこれらの施策は、ブランド力の向上と将来の顧客との接点づくりを同時に実現します。
製品紹介にとどまらず、自社の視点から専門知識や業界の動向を発信することで、企業としての信頼性や専門性が参加者に的確に伝わり、ブランドの存在感が一層際立ち、特に視聴者との積極的なコミュニケーションを促す構成は、関係性の深化に大きく貢献します。
こうした戦略的な情報発信によって築かれるブランドイメージは信頼を獲得し、ブランドとして継続的な取引につながるだけでなく、新たな顧客層へのアプローチにもつながり、結果として企業の競争力と成長の持続性を高めることも可能です。
費用対効果の高さ
ウェビナーやオンラインカンファレンスは、従来の対面型イベントで発生していた会場費、移動費、印刷物などの物理的なコストを削減できるため、非常に高い経済効率を実現できるのが特長です。
地理的な制約を受けずに国内外の幅広い層に情報を届けられるため、遠方にいる見込み顧客との関係構築や関係者への情報発信など情報の到達範囲を大きく拡大できます。
従来方式とオンライン方式を組み合わせたハイブリッド型イベント
前述の通り、特にコロナ渦以降に急速に発展したセミナーやカンファレンスのオンライン開催ですが、2023年に5類感染症に移行したことで徐々にオンライン開催から従来方式での開催も戻りつつあります。
従来の開催方式は長年のノウハウはもちろん、現地会場を訪れるからこその熱量や、偶発的な出会いによる新たな関係性の構築、直接的なコミュニケーションを通じた信頼関係の構築といった対面ならではの魅力がありました。
しかしながら、実際に会場に足を運ぶ従来方式では、参加人数や対応人数に限界があり、名刺交換やアンケートから企業が得られるデータも少なく、費用対効果が低いといったデメリットもあります。
そこで、新たな選択肢として注目されるのが、従来方式とオンライン開催の利点を組み合わせたハイブリッド型イベントです。
ハイブリッド型とは、現地会場でのセッションとオンライン配信を組み合わせた開催形式で、対面の臨場感や交流性を維持しつつ、オンラインによる情報拡散力や参加のしやすさ、エンゲージメントの高さを兼ね備えた新たな開催方式です。
運営の複雑化やコストが増加するデメリットはあるものの、会場を訪れるユーザーには製品を直接的にアピールし、対面での熱意あるコミュニケーションを通じた関係構築が期待できます。
オンラインでも同時に開催されるため、興味はあるものの参加のハードルが高い遠隔地の顧客の参加や、アーカイブによる長期的な情報発信、アンケートなどによる顧客データの分析といった完全オンライン型のメリットも享受できます。
イベントを成功に導くためのイベント設計
ウェビナーやオンラインカンファレンスで確かな成果を得るには、入念な準備と戦略的な運用が欠かせません。
本項では、集客設計に有効な「5W2Hフレームワーク」の活用法を起点として、ターゲットの設定やプロモーションの組み立て方、エンゲージメントを高める仕掛け、イベント後のリード活用、アーカイブ動画の展開まで、オンラインイベントの価値を最大化するための具体的な設計手法を解説します。
効果的な集客計画の立案に欠かせない“5W2Hフレームワーク”
オンラインイベントの成果は、偶発的なヒットではなく、緻密に設計された集客戦略の上に成り立ちます。なかでも、計画段階で全体像を可視化し、要素同士の関連性を整理する思考ツールとして有効なのが「5W2Hフレームワーク」です。
“5W2Hフレームワーク”とは?
「Who(誰に)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How much(いくらで)」という7つの視点は、集客設計の抜けや漏れを防ぎ、施策を実行可能な形に落とし込むための道標となります。
たとえば「Who(誰に)」の視点では、業種・役職・関心軸といった観点から明確なターゲット設定が必要です。。その上で「Why」を通じてイベント参加の動機を捉え、「What」ではその層に響くコンテンツの設計を行います。「Where(どこで)」は開催形式の選定に直結し、「How(どのように)」と組み合わせることで効果的なチャネルの選定が可能になります。さらに「When(いつ)」で最適なタイミングを、「How much(いくらで)」で現実的な施策バランスを決定していきます。
実務的な観点では、全体スケジュールを設計し、準備、告知、リマインド、フォローアップまでの流れを明文化することが重要です。また、集客停滞や実行のボトルネックといったリスク要因を事前に洗い出しておくことで、柔軟な軌道修正が可能になります。
“5W2Hフレームワーク”で重要視すべきこと
最も重要なのは、ターゲット層の明確化です。「誰に届けるのか」が定まれば、「何を、どのように届けるか」も自然と決まってきます。デモグラフィックとサイコグラフィックの両面からデータを統合的に捉え、ターゲットの関心・課題・行動様式にフィットした訴求を行うことが、集客成功の核心です。
過去の成功事例を分析し、自社の目的やリソースに合わせて施策をカスタマイズすることで、「再現性のある成功の型」を構築できます。
こうした設計の積み重ねが、イベントの質と成果を大きく左右します。5W2Hは単なる思考整理ではなく、成果につながる集客の“設計図”として、すべてのイベント設計に応用できる汎用フレームといえるでしょう。
より多くの顧客に情報を発信するための戦略的な集客設計
オンラインイベントの成否を左右する第一歩は、集客戦略の設計にあります。単なる参加者募集ではなく、ターゲット層の明確化からプロモーション手法の選定、運用フェーズに至るまで、一貫した戦略設計が不可欠です。
集客の起点は「誰に届けるか」の設定です。自社の製品やサービスが解決できる課題と向き合うターゲット層を明確にした上で、訴求力のあるメッセージを設計し、最適なチャネルを選定します。
加えて、全体スケジュールの可視化と段階的なプロモーションの展開により、関心の醸成から参加申し込み、リマインド、フォローアップまでをシームレスに接続できます。
クロスチャネル戦略
特に効果的なのが、SNSとメールマーケティングを連動させたクロスチャネル戦略です。BtoBでの訴求力の高いLinkedInや、拡散性の高いX(旧Twitter)など、SNSではプラットフォームごとの特性を活かして認知を拡大し、一方でメールでは既存の顧客基盤に対してパーソナライズされた情報を届けることで参加意欲を高められるでしょう。
このほか、検索エンジン広告やリターゲティング、イベント専用LPの設置、業界メディアとの連携、さらにはオンラインイベントの共同開催なども効果的な選択肢です。いずれの施策も、単独で成果を求めるのではなく、相互に補完し合う設計をすることが成功の鍵となります。
双方向性から生まれるエンゲージメント設計
ウェビナーやオンラインカンファレンスでは単なる情報発信だけでなく、参加者と双方向のやり取りができる場としての設計も重要です。
視聴者を受け身の存在にとどめず、参加者との能動的なやり取りに導く仕掛けが、エンゲージメントを高め、ブランドとの関係性を深めることにつながります。
中でも効果的なのが、Q&Aセッションとリアルタイム投票の導入です。登壇者への質問を通じて理解が深まり、双方向のやり取りがセッションへの没入感を生み出します。一方、リアルタイム投票はその場の声を反映する手段として、イベントにライブ感と一体感をもたらします。
こうした施策を円滑に機能させるには、最適なプラットフォームの選定、事前の設計、適切なファシリテーションが不可欠です。
前述したツールの活用に加え、質問やテーマをあらかじめ準備し、自然な流れで盛り込む構成が求められます。また、モデレーターを配置して対話の活性化を図ることで、参加者の発言をより引き出すことが可能になります。
見込み顧客の獲得からイベント後のフォローにつなげる
オンラインイベントは、単なる情報発信の場にとどまらず、見込み顧客との接点をつくり、関係性を深めていくための戦略的なマーケティング施策です。
ターゲットの関心に即したテーマ設定や、魅力的な登壇者との組み合わせによって、参加者の共感と信頼を得やすく、商品やサービスへの関心を自然に高めていくことができます。
しかし、見込み顧客を「集めただけ」ではビジネス成果にはつながりません。本当の勝負は、イベント後に始まるフォローアップといえるでしょう。
ウェビナー終了直後は参加者の関心が最も高い状態です。このタイミングを逃さずに関心を持続させるには、参加者へのフォローメッセージの送付や、資料・録画の共有が有効です。
加えて、参加者の関心分野に応じた情報提供や、営業担当による迅速なアプローチを組み合わせることで、次のアクションへと自然に導くことができます。こうした一連の対応は、参加者一人ひとりの興味やニーズに応じた配慮に基づいて設計することで、関係性を段階的に深めていく流れを作ります。
また、リードの見込み度を見極め、適切なアプローチにつなげるには、データの活用が不可欠です。
登録時に得られる属性情報の他、参加目的や関心テーマの把握、さらには視聴中の行動やコメントなどの反応も、フォローアップの優先順位や内容を最適化する上で貴重な判断材料となります。
フィードバックを分析し、イベントを次のステージに
オンラインイベントの質を継続的に向上させる上で欠かせないのが、参加者からのフィードバックです。リアルな声を的確に収集し、次回の施策に反映させることが、イベントの価値を高め、企業の信頼性を強化する鍵となります。
まず取り組むべきは、フィードバックを得るための仕組み作りです。イベント終了後のオンラインアンケートを通じて、満足度、改善点、今後の期待内容などを丁寧にヒアリングし、開催内容を振り返る材料とします。た、リアルタイムで反応を把握できる投票機能や評価機能を取り入れることで、その場で参加者のニーズを読み取り、即時の改善にもつなげることが可能です。
こうして得られたデータは、単なる感想にとどまらず、今後の企画設計に活かすための重要なインサイトとなります。フィードバックを定量的・定性的な両面から分析することで、傾向や課題を明確にし、より的確なコンテンツ改善や施策の見直しを実現できます。
ウェビナーやオンラインカンファレンスは、開催当日だけが勝負ではありません。
録画したセッションをアーカイブとして活用すれば、当日参加できなかった人々はもちろんのこと、イベントを再確認したいというニーズへの対応など、長期的に集客力を持つコンテンツとなります。
見込み顧客を獲得する手段としても有効です。専門性の高いイベントのアーカイブから一部を抜粋してブログやSNSで公開したり、イベント全編のアーカイブをホワイトペーパーの一環として自社サイトで公開し、視聴の際に連絡先を取得すれば話題拡散と同時に見込み客の獲得も期待できます。
まとめ
ウェビナー、オンラインカンファレンス、さらにはハイブリッド型イベントの活用は、単なるコスト削減策にとどまらず、戦略的に顧客との接点を創出し、ブランド価値を高めるための強力な手段へと進化しています。
集客成功の鍵は、ターゲット設定からエンゲージメント設計に至るまで、精緻に組み立てられた戦略と仕組み作りにあります。今後のデジタルマーケティングでは、こうしたオンラインイベントを起点とした「体験設計」が、持続的なビジネス成長を支える中核となるでしょう。
より良いハイブリッドイベントの企画・実施を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
JCGでは、設計から配信支援、運用改善まで一貫してサポートいたします
リアルとオンラインをうまく繋げることで、より多くの人に「また参加したい」と思ってもらえるイベントを目指しましょう。