eスポーツにおける対戦型格闘ゲームとは。
EVO(Evolution Championship Series)などeスポーツの中でも特に大規模な大会が開催される対戦型格闘ゲーム。ストリートファイターシリーズの最新作ストリートファイター6が世界累計販売本数300万本を超えるヒット作になり、公式大会やプロリーグの同時接続者数も1万人を超えるなど、eスポーツにおいても人気ジャンルの一つとなっています。
今回はそんな対戦型格闘ゲームの歴史や、現在も発売されているゲームタイトル、大会などのご紹介をします。
対戦型格闘ゲームの歴史
対戦型格闘ゲームの起源:1991年
対戦型格闘ゲームの起源はカプコン社が1991年に発売した“ストリートファイターⅡ”と言われています。それ以前にも格闘技を題材としたアクションゲームは発売されていましたが、1人用のプレイがメインであり、プレイヤー同士の対戦を前提として設計されたものはストリートファイターⅡが初めてでした。
UFOキャッチャーやメダルゲーム、体感ゲームなどが発売されゲームセンター人気が高まっている中、新たなジャンルである対戦型格闘ゲームとしてストリートファイターIIがリリースされました。
それまでの1台に2人が座りプレイするスタイルではなく筐体を2台使用した1人1画面での対戦システムや、当時発刊されていたゲーム雑誌“ゲーメスト”によるストリートファイターII特集などにより、スコアランキングで間接的に競うのではなく、ゲームで対戦する文化が広まっていきました。その結果、ストリートファイターIIは世界累計630万本(※1)を売り上げ対戦型格闘ゲームというジャンルを確立しました。
また1992年にはストリートファイターIIのバージョンアップ版である“ストリートファイターII‘(ダッシュ)”が発売、ゲーメストに全国大会が開かれ4000人以上が参加した(※2)と言われています。
※1)参考:カプコン公式ホームページ(外部リンク)
※2)参考:Esports World 伝説の格ゲーマー・太刀川氏が語る、eスポーツ以前の格ゲーシーンと未来(外部リンク)
格闘ゲームの普及と進化:1990年代
ストリートファイターIIのヒットにより、世界初の3D対戦格闘ゲームである“バーチャファイター“など現在も続く人気格闘ゲームが次々と発売され、ブームとなりました。
90年代に発売された主な対戦格闘ゲームタイトル
1991年
カプコン社”ストリートファイターII”
SNK社“餓狼伝説“
1993年
セガ社“バーチャファイター”
SNK社“サムライスピリッツ”
1994年
SNK社“ザ・キング・オブ・ファイターズ’94”
ナムコ社(現バンダイナムコエンターテインメント)“鉄拳”
1998年
アークシステムワークス社“ギルティギア”
また各タイトルの公式全国大会やゲーメストによる大会“ゲーメスト杯”、各地のゲーセンによる店舗での大会など大小さまざまな大会が行われ、梅原 大吾氏など有名プレイヤーが生まれていきました。
国内最大規模大会“闘劇”の開催:2000年代
2000年代初頭、公式大会の数が落ちつき、新しいゲームタイトルも減少を始めました。そこで改めてアーケードゲームを盛り上げるため、エンターブレイン社(現在はKADOKAWA社が吸収合併)主催のもと全国のゲームセンターを巻き込んだ大会である“闘劇”が開催されました。
闘劇は2003年~2012年に全10回開催された複数の対戦格闘ゲームタイトルが採用される大会で、全国各地にある指定されたゲームセンターでの予選を勝ち抜いたプレイヤー(またはチーム)が、関東で行われる本選へ出場します。本選会場は幕張メッセやディファ有明など大規模なイベント会場が選ばれる大会となりました。
現在プロとして活動している選手の中には、ときど氏、ふ~ど氏、どぐら氏など闘劇で活躍したプレイヤーも多く、国内eスポーツの礎となった大会です。
海外では、1995年から始まっていたアメリカのコミュニティ大会“Evolution Championship Series”が規模を拡大。2002年に会場を格闘技イベントが盛んな“マンダレイ・ベイ・イベント・センター”へ移し、世界最大級の対戦格闘ゲームイベントとして開催。日本からもアマチュア・プロ問わず毎年多数のプレイヤーが参加しています。
その他Evolution Championship Seriesについての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
Evoってなに?eスポーツ最大のオフ大会『Evolution』の魅力とは(サイト内リンク)
公式ツアー大会やプロリーグの開始とプロプレイヤーの誕生:2010年代前後
2009年ごろより対戦格闘ゲームの公式ツアー大会が開始、ストリートファイターシリーズでは”Capcom Pro Tour“、鉄拳シリーズでは”Tekken World Tour“、ギルティギアなどアークシステムワークス社制作のゲームでは”ARC WORLD TOUR“などが開催されています。これらの大会の多くが複数の大会で予選を行い、成績上位者のみが決勝大会に進むというツアー形式を採用しています。
また2010年に梅原 大吾氏がデバイスメーカーであるMad Catzと契約し、対戦格闘ゲームで初のプロプレイヤーとなりました。
プロリーグの開始とストリーマーイベント:現在
ストリートファイターでは2019年よりチーム制プロリーグである“ストリートファイターリーグ”が開始。現在では日本・北米・欧州の3地域で行われており、各国の上位チームは“CAPCOM CUP”にて世界一のプロチームの座をかけて争います。
また2022~2024年にかけてストリートファイターシリーズの最新作である“ストリートファイター6“や鉄拳シリーズ最新作”TEKKEN8“など、数々の対戦格闘ゲームの最新作が発売されました。
配信やイベントも多数開催されています。2023年6月に行われたCrazy Raccoonが主催するストリーマーイベント”Crazy Raccoon Cup“ではストリートファイター6が採用。関連配信を含め65万同時接続を超えたと言われており、賑わいを見せました。 引き続きストリートファイター6を採用して行われた“TGS2023 x Crazy Raccoon Cup STREET FIGHTER 6”第2回は東京ゲームショウ2023のイベントホールにておこなわれ、オフライン会場にチケット販売で観客を動員した開催となりました。
まとめ
30年以上の歴史を持つ対戦格闘ゲーム、一度は触ったことがある方も多いのではないでしょうか。
ストリートファイター6やTEKKEN8では入門者向けの操作方法や、視覚的にも楽しめる演出などが盛り込まれています。また、YouTubeなどの動画配信プラットフォームの普及により、攻略情報が多く共有され、始めやすい環境が整っています。
この機会に格闘ゲームからeスポーツを始めてみてはいかがでしょうか。
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