ストリートファイターの競技シーンとは
2023年に最新作『ストリートファイター6』が発売された人気対戦格闘ゲームのストリートファイター。
プロゲーマーの活躍やストリーマーイベントなどを通して、競技シーンに興味をもった方も多いのではないでしょうか。
そんなストリートファイターですが、全国のプレイヤーがプレイスキルを争う”大会”が初めて行なわれたのは30年以上も前だったことはご存知でしょうか。
今回は国内eスポーツシーンの祖とも言えるストリートファイターのシーンを紹介します。
対戦格闘ゲーム ストリートファイターの発売:1990年代~
『ストリートファイター』シリーズは1987年に第1作目が発表、ゲームセンターで稼働されました。
この初代ストリートファイターは、プレイヤーは最強の格闘家を目指す隆(リュウ)を操り、世界中の格闘家と戦うという内容で、パンチとキックがそれぞれ弱・中・強の計6種類、「波動拳」「昇竜拳」「竜巻旋風脚」の3種類の必殺技を駆使してCPUと戦うものでした。
2Pの途中参加(乱入)によるプレイヤー同士の対戦も可能で、2P側はリュウと性能の同じキャラクター拳(ケン)をプレイします。
現在に比べキャラクターや技数などは少ないながらも、すでに対戦格闘ゲームとして基礎的なシステムができていたんですね。
ストリートファイターは1対1の対戦にフォーカスした初めての対戦格闘ゲームとして話題を呼びました。
その後、1991年3月に『ストリートファイターII』が稼働を開始します。
プレイ可能キャラクターや必殺技などシステムの追加により、プレイヤー同士の対戦をより充実させたことで人気を呼び、「人気のあまりなかなか遊べない」(※1)「ストリートファイターしかないゲームセンター、喫茶店があった」と言われています。
当時は対戦のためにプレイヤーふたりが一つの筐体に並ばなければならず、気まずさや窮屈さから対戦をためらうプレイヤーも居たようですが、ある店舗のスタッフが行なった”二つの筐体に分けて画面を出力する”改造が広がり、対戦環境が改善されことも人気を後押ししたと言われています。
翌年1992年には続編の『ストリートファイターII’』『ストリートファイターII’ TURBO』、さらに1993年に『スーパーストリートファイターII』が発売されることとなります。
※1)参考:4Gamer.net ストIIとは何だったのか。初代「ストリートファイター」からNintendo Switch「ウルトラストリートファイターII」まで,ストIIシリーズの歴史を辿る より
ストリートファイター全国大会の開催:1991年~
全国大会の開催
「ストリートファイター」は、その人気の高さとプレイヤー同士の対戦の面白さから、発売当初の1991年8月にはアーケードゲーム情報雑誌「ゲーメスト」(新声社)の協力のもと、公式ゲーム大会が開催されました(※2)
この大会は年を追うごとに規模を拡大し、93年に開かれた『ストリートファイターII ターボ チャンピオンシップ ’93 in 国技館』では約8500名のプレイヤーが大会へ参加、両国国技館にて雌雄を決したと記録されています(※3)
また同時期に『バーチャファイター』シリーズや『鉄拳シリーズ』など様々な格闘ゲームが発売され、90年代初頭~後半に掛けて格闘ゲームブームが巻き起こりました。
海外でも対戦格闘ゲームの人気は高まり、1995年アメリカにて、コミュニティ大会『Battle by the Bay』という大会が開催されました。この大会も年々規模を拡大し、現在は世界最大の格闘ゲームの祭典『Evolution Championship Series』としてラスベガスで年に一回開催されています。
◆『Evolution Championship Series』についての詳しい紹介はこちらの記事をご覧下さい。
Evoってなに?eスポーツ最大のオフ大会『Evolution』の魅力とは
世界大会の開催
1998年には東京ゲームショウ’98カプコンブースにて、ゲーメスト主催の全国・世界大会『ゲーメスト杯 ストリートファイターZERO3』が開催されます。
この大会は日本大会の優勝者がアメリカ・サンフランシスコにて行なわれる『STREET FIGHTER ALPHA3 WORLD CHAMPIONSHIP』に招致されアメリカ大会の優勝者と対決、世界一を決めるというものです。
この大会で優勝したプレイヤーが梅原 大吾 氏。梅原 氏はアメリカ大会優勝者のアレックス・ヴァイエ 氏を下し世界一の称号を手にしました。この大会の模様はテレビでも特集され話題となりました。
この梅原 氏が後のプロゲーマーであるウメハラ選手です。
※2)参考:GAMERS ZONE 「ゲーメスト杯」の誕生と消滅 ~対戦格闘ゲーム大会を作った男、猿渡雅史~ <前編> より
※3)参考:ESPORTS WORLD 伝説の格ゲーマー・太刀川氏が語る、eスポーツ以前の格ゲーシーンと未来 より
『闘劇』の開催:2003年~
2003年に、さまざまな格闘ゲームの日本一を決める大会『闘劇』(主催:エンターブレイン社 現 株式会社KADOKAWA エンターブレイン)が始まります。
闘劇は指定された全国のゲームセンターで予選を行い、通過者はゲームセンター・エリア代表として関東で行われる決勝大会に挑むというまさに「全国大会」です。この大会は2003年~2012年まで計10回行われました。
この大会を通じて、ウメハラ選手、ときど選手、ふ~ど選手、マゴ選手、どぐら選手など現在も一線で活躍するプロ選手が高く認知されました。
また2011年にはストリートファイターを中心としたコミュニティ団体である『TOPANGA』が設立。
『TOPANGAチャリティーカップ』など一般参加が可能なオープン大会や、国内最高峰のリーグ戦である『TOPANGAリーグ(現 TOPANGA CHAMPIONSHIP)』など、現在も国内ストリートファイターのコミュニティシーンを牽引しています。
格闘ゲーム初のプロゲーマーの誕生とカプコン公式世界大会『カプコンカップ』の開催:2010年~
プロゲーマーの出現
闘劇やEVOなど大規模大会が行なわれ有名プレイヤーが輩出される中、2010年に梅原 大吾(ウメハラ) 氏がデバイスメーカーであるMad Catz社と契約し、対戦格闘ゲームで初のプロゲーマーとなりました。
ウメハラ選手は2004年のEVO準決勝にて劇的な逆転劇を見せたことでも有名で、現在も一線で活躍するプロゲーマーです。
『カプコンプロツアー』のスタート
闘劇が終了を迎えた翌年の2013年、カプコン公式世界大会である『Capcom Cup 2013(カプコンカップ)』が開催されます。
この大会は『スーパーストリートファイターIV アーケードエディション(スーパーストリートファイターIV AE)』『ストリートファイター X 鉄拳』『アルティメット マーヴル VS. カプコン3』の3タイトルが採用されアメリカ・カリフォルニア州で開催されました。
Capcom Cup 2013は世界各地域で予選が行われ、8名の代表選手が出場。スーパーストリートファイターIV AE部門では日本のsako選手(現 FAV Gaming所属)が優勝し、初代カプコンカップ王者となりました。
2014年に開催された『Capcom Cup 2014』からは、世界各地で行なわれる認定大会によって付与される”ランキングポイント”を争うツアー形式を採用。また優勝することで直接決勝大会の出場権を得る事ができるプレミア大会も用意され、現在に近い形式の『カプコンプロツアー』がスタートしました。
カプコンプロツアーの決勝大会であるカプコンカップは、恒例的にアメリカでの開催となりました。
カプコンカップ歴代優勝選手一覧
開催年 | 大会名 | 採用タイトル | 優勝者(地域) |
2013年 | Capcom Cup 2013 | スーパーストリートファイターIV AE2012 | sako(日本) |
アルティメット マーヴル VS. カプコン3 | ChrisG(アメリカ) | ||
ストリートファイター X 鉄拳Ver.2013 | Infiltration(韓国) | ||
2014年 | Capcom Cup 2014 | ウルトラストリートファイターIV | ももち(日本) |
2015年 | Capcom Cup 2015 | ウルトラストリートファイターIV | かずのこ(日本) |
2016年 | Capcom Cup 2016 | ストリートファイターV | NackleDu(アメリカ) |
2017年 | Capcom Cup 2017 | ストリートファイターV | MenaRD(ドミニカ) |
2018年 | Capcom Cup 2018 | ストリートファイターV AE | ガチくん(日本) |
2019年 | Capcom Cup 2019 | ストリートファイターV AE | iDom(アメリカ) |
2021年 | Capcom Cup 2020 | 新型コロナウイルスの影響により中止 | |
2022年 | Capcom Cup VIII | 新型コロナウイルスの影響により中止 | |
2023年 | Capcom Cup IX | ストリートファイターV チャンピオンエディション | MenaRD(ドミニカ) |
2024年 | Capcom Cup X | ストリートファイター6 | UMA(台湾) |
そして舞台は日本へ~カプコンカップ初の日本開催~
そして2024年、これまでアメリカで開催されていたカプコンカップの日本初開催が発表されました。
会場は初代ストリートファイター全国大会の会場である『両国国技館』です。
またカプコンカップへ2名が通過する特別な大会『スーパープレミア大会』も日本で11月に東京都調布市にて開催されます。
CPT全体でも2回しか開催されないスーパープレミア大会は、トッププレイヤーを中心に世界中から様々なプレイヤーが集まることが予想されます。
ぜひ熱い大会の模様を現地で観戦してみてください。
スーパープレミア大会『京王 Presents JCG STREET FIGHTER 6 CAPCOM Pro Tour 2024 SUPER PREMIER JAPAN』公式サイトはこちら(チケット販売中)
公式プロリーグ『ストリートファイターリーグ』の開始:2018年~
プロリーグ『ストリートファイターリーグ』のスタート
2018年9月にストリートファイター初めての公式リーグとなる『ストリートファイターリーグ powered by RAGE』の開催が発表されました。
『ストリートファイターリーグ powered by RAGE』は3名1チーム、計6チームで行なわれるリーグ制の大会で、
エクストリームクラス(プロライセンス保持選手)・ハイクラス(22歳以下の成績優秀な一般プレイヤー)・ビギナークラス(初心者プレイヤー)から各1名ずつが選出されチームを結成、2019年2月~3月に行なわれる本戦に出場しました。
ハイクラス・ビギナークラスのプレイヤー選出のために大会やトライアウトなどさまざまな施策が実施されました。
規模の拡大とチームオーナー制の導入
その後、2020年シーズンでは4人1チーム、6チームに規模を拡大。2021年シーズンではチームオーナー制が導入され企業8社が参画、8チームによる開催。さらに2023年シーズンには9チームの参加と年々規模を拡大しています。
2019年シーズンからは、カプコンカップにて『ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ』が同時開催。日本・アメリカ・ヨーロッパなどの地域優勝チームが世界一の座をかけて争います。
2024年の『ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024』は参加チーム数が過去最多の12チームに拡大され、2つのリーグに分けて争う2ディビジョン制となることが発表されています。
これにより、他ジャンルで活躍する『Crazy Raccoon』や『DONUTS VARREL』などの有名プロチームが対戦格闘ゲーム部門を設立、参画することが発表され話題を読んでいます。
ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024参加チーム一覧
- CAG OSAKA
- Crazy Raccoon
- DetonatioN Focusme
- DONUTS VARREL
- FAV gaming
- FUKUSHIMA IBUSHIGIN
- Good 8 Squad
- Yogibo REJECT
- Saishunkan Sol 熊本
- 忍ism Gaming
- 名古屋NTPOJA
- 広島 TEAM iXA
その他、競技シーンの詳しい情報は下記の記事や公式サイトを御覧ください
サイト内記事 今知りたい! ストリートファイター競技シーンの仕組みや最新情報をご紹介
カプコン公式eスポーツ総合情報サイト
まとめ
ストリートファイターIIの全国大会をきっかけに30年以上つづくプレイヤー同士の熱い戦いの歴史。
特に2024年はオフラインプレミアやカプコンカップなど日本でも大規模国際大会が予定されており、一層の盛り上がりが期待されています。
最新作が発売され、さまざなイベントが開催されていますので、ぜひ一度ストリートファイターをプレイしてみてください。
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