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2025年開催予定の「オリンピック eスポーツゲームズ」とは?IOCとサウジアラビアが提携してeスポーツがオリンピック化!?

2024.08.15

2025年開催予定の「オリンピック eスポーツゲームズ」とは?IOCとサウジアラビアが提携してeスポーツがオリンピック化!?

2025年開催の「オリンピック eスポーツゲームズ」とは?

2024年7月12日、オリンピック委員会(IOC)はビデオゲームを正式種目としたeスポーツオリンピック「オリンピックeスポーツゲームズ」を2025年のサウジアラビアで開催予定であることを明らかにしました。

参考:オリンピック委員会のプレスリリース(外部リンク)

サウジアラビアでは世界最大規模のeスポーツ大会である「Esports World Cup」が開催されており、同国をeスポーツの拠点とする動きが強まるなかでの発表ということで、競技シーンに関心を持つユーザーからは関心が高まっています。

本稿ではサウジアラビアでの開催が発表された「オリンピックeスポーツゲームズ」を紹介するとともに、近年のIOCやサウジアラビアが見せたeスポーツへの動向を振り返って紹介します。

IOCによるeスポーツオリンピック開催を報じるポスト

IOCとNOCが提携するeスポーツオリンピック

近年eスポーツを正式種目とする動きを見せていたIOCが発表した「オリンピックeスポーツゲームズ」。

IOCによれば同大会はサウジアラビアの国内オリンピック委員会(NOC)と提携して開催されるとのことで、第一回大会はサウジアラビアが開催地となっています。

IOCとNOCの提携は12年間であることが明らかとなっており、2025年以降も定期的な開催が予定されています。

現時点では同大会に関する情報は開催時期と開催国のみとなっており、開催日時や会場、採用タイトルなどの情報は明らかにされていません。

サウジアラビアがeスポーツオリンピック開催地に選ばれた理由

2025年の「オリンピックeスポーツゲームズ」ではサウジアラビアが開催国に選ばれていますが、なぜ同国が選ばれたのでしょうか?

近年サウジアラビアではムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相が主導する政府開発プログラム「Saudi Vision 2030」※1の一環として、ゲームを主要産業化しようとする動きがみられています。

※1)Saudi Vision 2030(公式サイト):サウジアラビアが抱える石油依存などの経済的課題を包括的に解決し、持続的な経済成長の創出を目指す政府開発プログラム。特にeスポーツ分野では活発な活動が続いており、政府から出資を受ける企業による大手eスポーツ企業の買収※2や、大規模なeスポーツ大会の開催を計画している※3。

※2)参考:サウジアラビア,ゲームとeスポーツ業界に対する大規模投資を発表。大手パブリッシャの買収も視野に
※3)関連記事:世界最大規模のeスポーツ大会「Esports World Cup」とは?気になる賞金から注目チーム・選手までご紹介

50万平方メートルを超える世界初のゲーミング&eスポーツ地区「キディヤ・シティ」など、国家主導だからこそ実現可能な大規模な計画も発表されています。

都市開発プロジェクト「キディヤ」によるeスポーツ地区に関するポスト



画像はキディヤ・インベストメント・カンパニーリリース記事より

一方で、IOCでは2017年頃からオリンピックでのeスポーツ正式種目化を検討しており、2023年には試験的な大会であるオリンピックeスポーツシリーズが開催されていました。

関連記事:eスポーツがオリンピック採用!実際に行われているオリンピック関連大会やIOCの取り組みを紹介!

eスポーツという文化をオリンピックに取り込もうとするIOCにとって、「Gamers8」や「Esports World Cup 」の開催実績のあるサウジアラビアは、中長期的にeスポーツ産業の開発に取り組み、ノウハウを持つこれ以上ないパートナー候補であったことが考えられます。

「オリンピックeスポーツゲームズ」のキーマン

来年初開催となる「オリンピックeスポーツゲームズ」の概要、そしてサウジアラビアで開催される理由について紹介したところで、本大会の3人のキーマンをご紹介します。

トーマス・バッハ 会長

IOCの現会長であるトーマス・バッハ氏は元フェンシング選手であり、1976年のモントリオールオリンピックではフェンシングフルーレ団体に出場し、金メダルを獲得した経歴があります。

元フェンシング選手という経験からか、アスリートの視点に合わせて環境を整えた実績が評価されています。

オリンピックでのeスポーツ採用への立ち位置や考えについては、評価の別れるところとなっており、今回の発表では「eスポーツ分野における専門知識をもつNOCとの提携は、オリンピックeスポーツゲームズ開催の大きな助けになる」とコメントしています。

2030年のオリンピック開催地発表を行うトーマス・バッハ 氏

ムハンマド・ビン・サルマン 皇太子 兼 首相

「オリンピックeスポーツゲームズ」の開催国であるサウジアラビアの現皇太子兼首相であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ゲーム・アニメといった日本のコンテンツに興味を示していることが知られています。

先にも軽く触れたとおりゲームの主要産業化に精力的に取り組んでおり、首都リヤドで開催されているeスポーツワールドカップは同皇太子が設立したEsports World Cup Foundationが主催しています。

日本では『餓狼伝説』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』で知られる株式会社SNKの買収※5、任天堂株式会社の株式約5%の取得※6で話題となりました。

※5)参考:SNK松原社長インタビュー。株主はサウジアラビア皇太子。『餓狼』や『KOF』のオープンワールド化も視野に、10年で売上10億ドル以上を目指す成長戦略
※6)参考:任天堂株式の5%をサウジ皇太子率いるファンドが購入

EWCのトロフィーお披露目に出席するムハンマド・ビン・サルマン 皇太子(写真手前)

ファイサル・ビン・バンダル王子

サウジアラビアのeスポーツ連盟会長であるファイサル・ビン・バンダル王子は大のゲーム好きとして知られています。

eスポーツ連盟会長の座のほかに、アラブeスポーツ連盟会長、国際eスポーツ連盟副会長などを兼任しており、2022年に大手eスポーツ企業ESL、FACEITを買収した Savvy Games GroupのCEOでもあります。

日本では「SASUKE」のアラビア語圏版、「風雲!たけし城」のサウジアラビア版制作の報道や、2018年の「EVO Japan 2018」ではお忍びで視察に訪れている姿がメディアに取り上げられていました。

IOCとNOCの提携に際し、ファイサル・ビン・バンダル王子は「ICOと提携し、国際スポーツが新たな時代を迎える手助けができることに大きな期待を寄せている。」と期待感とともに、

「2,300万人以上のゲーマーを抱え、サルマン皇太子の支援により国際的なeスポーツの拠点になっているサウジアラビアでオリンピックeスポーツゲームズが開催されることは、同国と国際的なeスポーツコミュニティにとって自然なステップアップだ」とeスポーツシーンをけん引する姿勢を強調しています。

来日の際にメディアインタビューに答えるファイサル・ビン・バンダル王子

まとめ

近年eスポーツ分野に力を入れ、eスポーツのグローバルハブ化を目指すサウジアラビアと提携し、開催される「オリンピックeスポーツゲームズ」。

大規模大会のノウハウを持つサウジアラビアがIOCとオリンピックをどのように導くのか。

そして定期開催となる同大会が2025年以降、どのように発展していくのか今後の動向に注目です。

 

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