eスポーツが単なる遊びから社会的な活動へと進化している今、ゲームをするだけでなく、それを通じて成長し、社会に貢献する力を身につける──そんな教育が注目を集めています。滋慶学園 東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校で展開されている独自の教育プログラムは、学生たちにどのような未来を描いているのでしょうか?山田一徳先生に、現場での経験と思いをお聞きしました。
―本日は、eスポーツ教育の第一線で活躍されている東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校の山田一徳先生に、学生たちの成長や教育の現場、そして業界の未来についてお話を伺います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
—まずは貴校の教育についてどんな理念や方針を掲げているのか教えてください。
私たちの学校では、eスポーツという単なるゲームの技術だけでなく、人間としての成長を重視しています。技術力だけに偏らず、コミュニケーション能力や社会性を育むことを教育の柱にしており、eスポーツが社会に与える影響を踏まえプロの現場で活躍できる人材を育てたいと思っています。

—なるほど。具体的にはどんなカリキュラムやプログラムを用意しているんでしょうか?
基礎的なゲームに関しての知識や技術の習得はもちろんですが、それに加えて、チームでのコミュニケーション演習やマネジメントの授業も充実させています。さらに、産学連携で実際のeスポーツ大会やイベントに参加し、現場の経験を積むことを重視しています。
決まった教科書がなく、カリキュラムを一から組み立てないといけないところは苦労しましたが、教育内容をあえて柔軟に変更することで業界の変化に合わせ、常に最新の教育内容にアップデートしています。卒業生に先生として学校に帰ってきてもらったりすることもあります。
—現場に学生を送り出す教育は、どのようにして実現しているのですか?
御社のような企業や大会運営者と連携し、学生が実際の現場でスタッフとして活動する機会を多く設けています。これにより技術だけでなく社会人としての責任感やマナーも学べますし、実務を通して得られる経験は学校の教室だけでは得難い貴重なものですね。
—学生の入学動機やバックグラウンドは様々あるのでしょうか?

そうですね。単純にeスポーツが好きで業界への就職を目指して入学する学生も多いですし、プロ活動をしながら授業を受けている学生も過去にはいましたね。
先ほどお話ししたように産学連携で様々なカリキュラムを用意しているのですが、社会人としてのコミュニケーションが未成熟な学生も多くいます。彼らは教育の過程で多くの壁にぶつかりますが、そこを乗り越えることが成長に繋がると考えています。
—どんな壁があるんでしょうか?
学生によって事情は様々ですが、精神的な成長段階での葛藤や家庭環境、親子関係、経済的な問題などが表面化します。それらを乗り越えるために教員やカウンセラーに相談したり、進路の再検討をすることもあります。ただ、そうした課題が彼らにとって成長のきっかけになることはとても多いと感じています。
—壁を乗り越える経験が成長の糧になると。
そうです。自分の進路や人生を改めて見つめ直し、『本当にこれでやっていくのか?』と真剣に考える機会が必ず訪れます。環境はどうあれ、本人の成長は確かで、社会人としての責任を持つ準備段階に入る瞬間です。このタイミングは入学後すぐの一年生の時かもしれないし、卒業年度の時かもしれませんが、誰にでも必ず来るものですね。

—とても人間的な教育ですね。貴校の取り組みとして、eスポーツを通じた人間教育の側面が強いと感じます。
はい。ゲームはただの遊びではなく、人間関係や自己成長のツールでもあります。社会人としての責任感や協調性、問題解決能力といったスキルは、どんな職業でも必須です。eスポーツをより現場に近い目線で学ぶことで、そうした力も自然にかつ意識的に身についていくといいなと思っています。
—保護者や社会の反応はどう変わっていますか?
昔は「ゲームなんて」と否定的な声も多かったですが、今は認知度も上がり変わりつつあると実感しています。ただ「仕事になるの?」という疑問もまだ根強くあります。だからこそ、eスポーツが社会性を育むことやコミュニティ形成の重要性を伝えることが大切です。親子で対話を重ね、価値観を共有し合うことが認識を変容させていく鍵だと思います。
—ありがとうございます。では、今後のeスポーツ教育について、どのような発展を期待していますか?

業界は非常に速いスピードで変化しているので、業界で活躍する職業人を輩出する学校もそれに合わせて柔軟に進化していかなければなりません。特に、コミュニティマネジメントの重要性が増していると感じています。小さなグループから大きなコミュニティまで、生命体のように動いているそれらのつながりが、業界全体のさらなる発展と成熟につながるでしょう。
—コミュニティマネジメントは確かに重要ですね。私たちの会社でもそうした事業に力を入れています。
そう聞いてうれしいです。実際、国際教育や海外との交流も含め、eスポーツを通じてのコミュニケーションは、単なるゲームの枠を超えています。学生にはもっと学びの幅を広げてほしいと思っています。好きなことを仕事にするためには、努力と勉強が不可欠ですし、業界を超えた活躍の可能性もあるものだからです。
—具体的にはどんなカリキュラムの充実を考えていますか?
学園には『人間教育』『実学教育』『国際教育』の三本柱があります。今後は特に国際教育を強化し、英語プログラムや海外での実践研修の機会を拡充したいです。ゲームをコミュニケーションツールにして、世界中の人とつながる力を身につけてほしいと考えています。
—eスポーツが社会に与える影響についてはどうお考えですか?
eスポーツは単なるゲーム競技ではなく、共通言語や共通体験を生み出すものです。若者はゲームを通じて情報交換し、交流しています。言葉が違ってもゲーム内で意思疎通できることが、その象徴でしょう。世界中で大規模な大会やイベントが行われ、自己肯定や相互理解を促進する社会的な役割も果たしています。
言葉とは違う形で深い繋がりを生み、社会性やコミュニケーション力を育てる重要なツールだと思います。

—最後に、これからeスポーツ教育に期待することは?
eスポーツ教育を通じて学生たちが壁を乗り越えて成長し、自信を持って社会に出られるようサポートしていきたいです。また、コミュニティを大切にし、国際的な視野を持つ人材を育てることで、業界全体の発展に貢献したいと思っています。eスポーツはこれから社会や世界に大きな影響を与える「共通言語」になる可能性があります。そんな未来を一緒に作っていきたいですね。

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