高齢化による課題とeスポーツの取り組み
近年、日本は急速な高齢化が進み、高齢者の社会参加の促進が重要な課題となっています。総務省の発表による(※1)と高齢者人口は1950年以降で初めて減少を見せたものの、人口割合としては29.1%と過去最高となっています。
一方で、生活支援を行う家族・介護人材の不足や、地域とのつながりなどの希薄化によって高齢者の生活を支える力は低下していくことが懸念されています。そのため、高齢者の健康や地域とのつながりを促進する取り組みが盛んに行われています。
中でも、eスポーツをとり入れる自治体や地域企業が近年増加しています。
今回はeスポーツを用いるメリットや、それらの課題に取り組んでいる事例の一部をご紹介します。
※1)参考:国立国会図書館インターネット資料収集保存事業サイトより 統計からみた我が国の高齢者 -「敬老の日」にちなんで-(外部サイト)
eスポーツが高齢者の社会参加を促進する!?eスポーツのメリットとは
プロゲーマーやストリーマー(ゲーム実況者)など職業として注目を集めるeスポーツですが、「スマートフォン一つで始められる」「自宅から移動することなく複数人で楽しめる」「事故や怪我の心配がない」などの手軽さから、世代を超えたコミュニケーションを深める手段としての活用も注目されています。
弊社でも全国にまたがって支部をもつ企業様の社内レクリエーションなど、さまざまな年代・人種の方へ向けたコミュニケーションの一環として依頼をいただく事例もあります(※2)
また慶應義塾大学環境情報学部教授 加藤 貴昭教授らの調査による(※3)とeスポーツは認知機能の向上の可能性があると報告されており、健康促進についても期待されています。
※2)eスポーツで「組合員同士の繋がりを作り、家族の絆を深める」アイシン・エーアイダブリュ労働組合様(サイト内リンク)
※3)参考:公益財団法人吉田秀雄記念事業財団 eスポーツがもたらす知覚・認知の側面(外部サイト)
eスポーツによる地域活性化の取り組み事例
神奈川県横浜市 富岡東 地域ケアプラザ
施策紹介ページ(外部サイト)
2022年12月、横浜市 富岡東 地域ケアプラザにてeスポーツ体験会が実施されました。
22人の参加者が集まり「太鼓の達人」をプレイ。準備運動を行い、歌に合わせて太ももや方を叩くなど体を動かしながら楽しみました(※5)
※5)タウンニュース 高齢者がeスポーツに挑戦(外部サイト)
愛知県名古屋市 緑生涯学習センター
公式サイト(外部リンク)
2023年1月~3月、名古屋市の緑生生涯学習センターにて「eスポーツで生涯学習」と出した全5回の講座が開かれました。
50~80歳代の13名が受講し、リズムゲームである「太鼓の達人」やパズルゲームの「ぷよぷよ」などを楽しみました(※4)
※4)東京新聞 TOKYO Web eスポーツでシニア健康に 交流促進や認知症予防 期待(外部リンク)
栃木県栃木市 箱森東部シニアクラブ
2023年9月、栃木市の箱森町東部公民館にてeスポーツを高齢者に楽しんでもらおうという体験会が行われ、ニュースとしても取り上げられました。
栃木県では国体の文化プログラムとしてeスポーツを採用した『全国都道府県対抗eスポーツ選手権2022 TOCHIGI』も開催されており、積極的にeスポーツの普及に取り組まれています。
群馬県太田市 ぐんまeスポーツフェスタ
2024年3月、年齢・性別を超えた交流を目的として『ぐんまeスポーツフェスタ』が開催されました。
リズムゲーム「太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル」やパズルゲーム「ぷよぷよ™テトリス(R)2」の他にもシューティングゲーム「APEX LEGENDS」や「PUBG MOBILE」など様々なジャンルのゲームが採用され幅広い年代の方で賑わいました。
施策紹介ページ(外部リンク)
群馬県では専門部署である「eスポーツ・クリエイティブ推進課」が設置されており、eスポーツへの取り組みが積極的に行われています。
eスポーツ・クリエイティブ推進課 紹介ページ(外部リンク)
鳥取県 全国健康福祉祭(ねんりんピック)
公式サイト(外部リンク)
ねんりんピックは、スポーツや文化種目の交流大会を始め、健康や福祉に関する多彩なイベントを通じ、高齢者を中心とする国民の健康保持・増進、社会参加、生きがいの高揚を図り、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与するため、厚生省創立50周年に当たる昭和63(1988)年から毎年開催されているイベントです。
2024年10月に行われる『ねんりんピックはばたけ鳥取2024』では初めてeスポーツとして「太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル」が採用、全国での代表予選が開催されています。
施策紹介ページ(外部リンク)
秋田県 マタギスナイパーズ
公式サイト(外部リンク)
秋田県では2021年に日本初となるシニアeスポーツプロチーム「マタギスナイパーズ」が結成され、活動をしています。
秋田県に本社を置くIT企業である株式会社エスツーが運営。「孫にも一目置かれる存在」をスローガンに掲げ10名ほどの選手が所属、平均年齢は67歳となっています。
現在もシューティングゲームである『VALORANT』を中心に動画配信や大会への出場などを続け、SNSでも話題を読んでいます。
まとめ
eスポーツは若年層への認知が高いだけでなく、体への負担の低さや、距離を越えてコミュニケーションが可能な点から幅広い年代を繋ぐツールとしても注目を集めています。
技術の発展とともにスマートフォンでのゲームプレイも実現し、より手軽に楽しむことも可能になりました。
ますます高齢化が進む日本社会において、eスポーツは高齢者が健康でいきいきと暮らせる社会を実現するための手段の一つとしてより注目をされていくでしょう。
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